「賛否両論ありそう。」溺れるナイフ 山根彬人さんの映画レビュー(感想・評価)
賛否両論ありそう。
公開を今か今かと楽しみにしていました。
原作のファンであり、予告もよかったし、主題歌のバンドも好きで見ない手はないと。
・良かった点
・風景や構図
自分が海を好きなのもあると思いますが、
立入禁止の鳥居のある海の場所やチャリやバイクで走る沿道等
一つ一つの風景に圧倒されました。
あとはマニキュアのシーンと、椿を咥える部分とか。
・菅田さんと小松さん、そして重岡さんの演技
かっこいい、綺麗なんてものは勿論でしたが、
一番良かったのは重岡さんとの眉毛のくだりとか
バッティングセンターの時とか、カラオケとか。
台本通りなのかアドリブなのかわかりませんが、
自然な感じがすごくよくて、友達のカップルを近くで
見てクスクス笑う感じになれました。心が温かくなりました。
・音楽
賛否両論ありますが、エヴァで翼をください流れたり、
キューブリック好きだったりする人には違和感ないのでは。。。
曲そのものの好みはあると思うのですが、
ああいうシーンと反比例するようなテンションの曲を
入れてくるのは個人的に好きです。
・悪かった点
・展開が早すぎる
原作を読んでいた身なので、補足などは自分でしやすかったですが、
このままでは「なぜ惹かれあってるのか」
「なぜ離れようとしているのか」などが考察しづらいのではと思いました。
映画のターゲット的にもそうした考察がお好きかどうかといわれると。。。
よくも悪くも空白の多い映画だと思います。
(時系列も変わりますし、原作は大人まで描きますし、
省略される部分は仕方ないのですが)
・カナちゃんが悪キャラみたいになっている
展開が早いのもあるのですが、なつめに意中の人をとられたちょい役。
みたいになっていた上に、最後は逆恨みのように二人を遠ざけるカナちゃん。。。
本当はもっといい子です。
・心情描写が入るスキなし。
まあこれも展開が早いにつながります。
展開が早い分「え、もう好きなんすか?」
「え、もう付き合うんすか?」
「え、もう別れるんすか?」
と置いてけぼりにされる印象。
というのも、その重要なシーンになる部分に至るまでの
スピードが速いということなのですが。
またこれを加速させているのが多分ですが、
海へダイブしてなんやらこんやら、
沿道をチャリかバイクでうんたらこんたらという
似たような印象(見た目的な意味で)を受ける
シーンが多いために全体としてシーンが少なく見えるのでは
と思いました。
・溺れるナイフというタイトルについて
溺れるナイフというのは「10代の激情」をテーマにしていますが、
あまりタイトルを裏付けるような説得力といいますか、
パワーを感じなかったのは事実です。
・隣のギャル2人組(これはネタです)
隣のギャル2人が菅田さんがスクリーンに映るたびに
「菅田君かっこいー!!」と駄弁ってたのが
最悪の印象でした。何に関してもですが、
発する側の気持ちと受け取り側の気持ちが一致しないのは
仕方ないとして、メンズノンノでも眺めておけばいいのでは。
と正直に思いました。
こういう人たちをターゲットにすることでしか邦画が売れないなら、
レベルは下がって当たり前だと思います。
隣で小松菜奈かわいい!ラブですぅと喋れば気付いてくれたでしょうか。
監督が書きたかった部分にグッと力が入った面が強かったと思います。
そこが監督とうまく合う人には、もしかしたら最高の作品かも。