「エルの表情がすごくいい」アバウト・レイ 16歳の決断 つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
エルの表情がすごくいい
エル・ファニングは大体の出演作品の中で美少女として扱われているが、今までそんなにカワイイとは思っていなかった。それが何の皮肉か、髪を短くし女の体で男の心を持つトランスジェンダー役の本作ではとてもカワイイと思った。
もちろん、どことなく男に見えなくもない以上に頑張って男らしさを作っているのだけれどね。
年齢のわりに陰鬱で湿ったような役柄が多かったせいか、本作での明るい笑顔や若者らしいハツラツさが可愛くみせたのかもしれない。かなり良い表情をみせる好演だった。
内容の方は、三世代の女性の生き方と家族のあり方についてを重そうなテーマに反して明るめで笑いもある感じに仕上げているヒューマンドラマだ。
同性愛者でもトランスジェンダーでも親子であることは変わらない。家族なのは変わらない。そんな、当たり前と言えば当たり前で、特別なようで特別なことなどない家族を、軋んで歪んで壊れそうな雰囲気だけ出して温かさで包んだ。
真ん中世代のナオミ・ワッツ演じる母親がメインの主人公だと思うけど、この人は性的にノーマルでシングルマザーということくらいしか特徴がない。しかし、レイの父親のこととか色々と複雑なこともあって一番苦悩している。ちょっと抱え込みすぎだよね。
もちろん三人それぞれに悩みや問題を抱えているけれど、肩の力を抜いて悩んでいることは本当に悩みなのか考えてみたり、笑顔あふれる家族の団欒に出くわせば、案外なにも悩みなんかないのかもよ?。親子なんだから当然のように愛しているのさ。
愛情あふれる良作でした。
コメントする