「リアルマネーゲーム。痛快なコンゲームではありません。事実はもっと世知辛い」マネー・ショート 華麗なる大逆転 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
リアルマネーゲーム。痛快なコンゲームではありません。事実はもっと世知辛い
事実を下にした作品。
2007年から2009年に起きた、サブプライムローン破綻とリーマンショックを巡り、その徴候に先んじて気付いて巨額の利益を上げた兵達の姿を描いている。
事前に映画評論家のアリコンさんの解説で、クリスチャン・ベールが演じたマイケル・バーリの片目が義眼で有るということを知っていたのですが(作中、そう言うクレジットも出ました)、それを知っていてもなお、クリスチャン・ベールの目の演技は凄すぎます。アリコンさんが「義眼側の目の焦点が合っていない演技をしている」と言う事を言っていたので、目に注目してみていたんですが、本当にそうでした。ビックリ!人間って、そういうこと出来るんですね。いやぁ、凄い。
それ以外には、ライアン・ゴズリング他の出演者たちが、狂言回し役で話をすすめる所が有るんですが、そう言うところは好きずきですね。私は、イマイチかな・・・。もっと全体的に物語として描いてもらったほうが、もっと中身に入り込めたかもしれません。なんか、役者の言葉が、その狂言回し役としての言葉なのか、演技の中での言葉なのか、どうも気になって仕方ありませんでした。
この一連の話をコンゲームと言うと、サブプライムローンに対する痛烈な皮肉になってしまいますが、実体的には殆どコンゲームでは無いかと思います。この手の、コンゲームを描いた映画は、最後は痛快に終わることが多いですが、事実を下にした作品ということもあり、そう言う爽快感はありません。サブプライムローンを売りまくった金融機関もそうですが、この映画で描いた者達も“結局みんな金の亡者か”と言う釈然としない感情を禁じえません。
第88回アカデミー賞では、作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞、編集賞の5部門にノミネートされ、脚色賞を受賞しています。