「華麗なる大逆転ではない」マネー・ショート 華麗なる大逆転 たくっちさんの映画レビュー(感想・評価)
華麗なる大逆転ではない
邦題や予告パンフから、少しドラマ仕立ての展開を期待して行ったのですが、全くそうではありませんでした。
4人の視点から見たドキュメンタリー仕立て、と言ったほうがいいのかもしれません。
TVで言えばNHKスペシャルに近い感じなのかな。
一つ言えるのは邦題にある、「華麗なる」大逆転ではない、ということ。
第三者から見て、面白おかしくという意味を込めて付けているのでしょうが…笑えない。
他の方も書いておられますが、実際に起こった出来事は
とても残酷で、陰惨で、悲しいもの。
怖いと言ったほうがいいのかもしれません。
儲けは儲けですが、人の不幸に賭けて、そして起こった儲け。
スティーブ・カレルが終盤、儲けを確定させようと焦る仲間に
ある一言を呟くのですが、その台詞がその前後感の演出も含めて
秀逸だと思いました。
あとクリスチャン・ベールの冒頭と最後のメッセージ。これも凄い。
人の性というか、本質をよく現した言葉だと思います。
ただ、中盤までに所々で入る大音量のBGMは要らなかったかな。
今から考えれば劇中ではいいスパイスかな、とは思うのですが
鑑賞中は没入感を削がれる事この上なかったので。
これから観に行かれる方は(金融の知識が無ければ)
映画.comの特集はとりあえず読んでおいた方が
楽しめるかもしれません。登場人物の紹介の辺りから。
また、胸のすくような展開があるのではなく、
(分かっていても、見たくなくなるような)
胸のつかえるような展開があるだけです。
けれど、その展開こそが、この作品の肝だと思います。
監督の演出に乾杯。