「虚構と現実を等価値に描く」劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケール ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
虚構と現実を等価値に描く
フルダイブのVR世界を描いていたTVシリーズや原作に対して、映画では現実世界を塗り替えるARを扱っている。ほとんどVR並みの再現度のAR技術、というものの導入が本作のテーマを一層深化させていたと思う。
この作品世界では、現実のほうが虚構よりも重要、という価値観ではない。キリトとアスナには現実の生活と虚構世界の生活はほとんどイコールの重要性がある。娘のユイの存在を考えたら、虚構世界のが重要かもしれない。
SF作品では現実と虚構を対立させて現実に重きを置く作品が今までは多かったが、本作ではそういう構造になっていない。虚構は現実の一部であって、等価値の存在である。それがARによって一層際立った。この映画では、現実は虚構世界を作るキャンバスのようなものだ。
虚構世界の創造主を主人公が乗り越えていく、というストーリーも魅力的だ。レディ・プレイヤー1では主人公が創造主の言いなりなのが残念だったが、本作の方がアドベンチャー映画の主人公らしい。
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