「良い作品ではある」ヒトラーの忘れもの タツヤさんの映画レビュー(感想・評価)
良い作品ではある
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導入からいきなりドイツ兵をなじり、もういいだろうというくらいしばき倒す主人公のラスムスン軍曹。
戦争は終結しても、まだその熱に浮かされ敵はゴミ以下の扱いよう。そんな彼の下に戦後処理の実行隊として、ようやく鼻の下にうっすら髭が生えてきたくらいのドイツ軍少年兵達が派遣される。
軍曹はファーストコンタクトで「なんだ?子供じゃないか?!」と面食らうも、憎き敵国の兵士と割り切り、厳しくあたる。
地べたに這いつくばり、ただただ地道に地雷を処理していく少年兵たち。ゴールなどあって無いようなものと思いつつ、「処理が終わったら家に帰れる」という軍曹の言葉に一縷の望みを託しながら。
そうした姿、また処理に失敗して死んでいく彼らを見て、一人の人間としての自分と軍人の矜恃の狭間で苦しむラスムスン。
地雷の処理シーンでは、このシーンは爆発しないなとわかっていつつも、いちいちハラハラさせられる。この子役達は本当に素人なんだろうか?本当に見入ってしまったし、双子の兄貴が死んだ直後、弟が「砂浜に戻って兄を探さないなきゃ!」とうなされるようにベッドで喋っているのを、「明日必ず探そう」となだめ、涙を堪える軍曹のシーンはヤバかったですね。
全編において、緊張とやるせなさに支配され、気を抜けない。
ただ、ラストが…個人的には、ちょっと。
良かったとも思う反面、バッドエンドにしてもらいたかった気持ちもあります。リアル体験はしていませんが、戦争は惨いものでしょ?
「理不尽でバカげた救いのない戦争を身体全面で受け止める」のが、戦争を知らない世代には必要かと。
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