「善と悪の狭間」ヒトラーの忘れもの メイばばさんの映画レビュー(感想・評価)
善と悪の狭間
「ヒットラーの忘れもの」とは?映画を観てよく理解でき、この邦題は素晴らしいですね。
戦後2000名ものドイツの少年兵がデンマークの捕虜として地雷撤去に駆り出されて居たなんて!こんな事実があっんですね、まずは驚きました。
そしてよくぞこの題材を映画にしてくれましたと頭が下がります。
デンマーク人の軍曹は捕虜として又憎むべきヒットラー率いるドイツ軍の兵士としての扱いを当然として行っていた。
しかしその少年兵達と接している内にふと疑問を感じたのでしよう、こんな若い少年達の命をこんな事で奪っていいのかと。
まずは食べ物を子供達の所へ持っていく(放り投げたけどね)
浜辺でサッカーをしている軍曹と子供達、逃げだせないように大きな木の板を外した時ホッとして緊張がほぐれました。良かったと安堵しましたが、愛犬が地雷で死んだ時、また冷酷な軍曹に逆戻りする。人って間で生きているのだなーと思いましたよ。
地雷撤去が終わり14人いたのに、4人しか残らなかった少年兵を軍曹が救い「国へ走っていけ」言うと後ろを振り返りつつ走っていく少年達は何を思っていたのでしょう。
一刻も早くドイツに帰り国を建て直すと言っていた事を実行すると信じます。こんな過酷な体験と人の善意を知ったのだから。
双子の兄が地雷で死んだ後、弟は錯乱し、軍曹に兄を嫌わないでと懇願するでしょ。その弟が少女を助け、自ら地雷を踏み亡くなるところ切なくて泣けました。
「ソフィの選択」や「サラの鍵」など悲劇的な結末で衝撃を受けましたが、この忘れ物の最後をこのかたちにしたのも、きっと意味があるのでしょう。
軍曹の行為は深い感慨とは思えませんが、それに軍曹のその後は?少年兵が無事に祖国の地に着けるかとか、不安は数々あるけれどこれはこれで良かったと思います。
その前にこんな事実を私は深く受け止めましたから。
デンマーク、ドイツ、サイドを変えてみると善悪の曖昧さ、真実も歪んで見えたりする。
それを映画を観た者が考え見抜いて!と言っているような気がします。