「わかり易く、誰にでも勧められる戦争映画。」ヒトラーの忘れもの だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
わかり易く、誰にでも勧められる戦争映画。
軍曹の登場シーンで、恐らく帰還のため行進しているドイツ兵を、怒りに任せて暴行するシーンがあります。
それでまず軍曹がだいっ嫌いになりました。
が、その軍曹が地雷除去のため連れてこられたドイツの少年兵と、ちょっとだけ心を通わせてしまうという話なんです。
あ、デンマークのお話です。デンマークをナチスドイツが占領していたんですね、永い間。
で、ついにナチスが敗れたので、デンマーク開放!去れドイツ!という時点からのお話です。
少年兵が除去させられる地雷は、ドイツ軍が埋めたもの。
それをドイツ兵に除去させるというのは、ある意味当然かもしれません。
ただし、大人でも容易でないその任務を、あどけない子供たちにさせることに、軍曹も観客も悩みます。
また、映画の中では触れられていませんが、捕虜の強制労働はジュネーブ条約違反なんだけど、デンマークとドイツは交戦状態ではなかったから、その隙間で強制労働をさせたということらしいです。HPに載ってました。なので、ほんとは国際的にも道義的にもちょっとしたズルをして、少年兵に危険なことをさせたということなんです。
最終的に、数名(5人かそこら)が、生き残り(みんな死んじゃうんですよ)、
やっとドイツに送り返せると思った矢先、「あいつらは地雷の扱いに長けているから、他の地域で地雷除去を続けさせる」との
軍の意向で、新たな任務地へ連れて行かれてしまいます。
軍曹は、軍にそむいて新たな任務地から少年兵を奪い、ドイツとの国境近くで開放してラストという事になります。
ほんの少しだけこの結末は、見ている観客を救うでしょう。
でも、実際はこうではなかっただろうと思います。
勝っても負けても自分も相手もズタズタに傷つけるんですね。
難しくはありません。
わかりやすいストーリーなので、あまりいろんな映画を見たことがない人にも伝わると思います。
なので、世界の苦しみ・矛盾を学びたいとするならば、いい教材だと思います。
まあ、泣いて終わりの映画になってしまう可能性はありますが。
この映画に関係のないことも色々思いました。
日本だとこういう視点の映画、ないよね、なんでかしらと。
だいたいが、いかに戦渦で市民が虐げられたか、
過酷な環境で兵士は戦ったか(そしてそれは尊い)という視点なので、
日本の戦争映画は正直苦手です。
確かに、戦渦に市民は虐げられたし、兵士も苦しんだでしょうが、
それらと同じ分量で、加害者としての反省をしなきゃならないのではと思います。
でもそういった反省が感じられる映画・物語はあんまり思い出せないですが、何かあるんでしょうかね。
戦メリはそうだったかも・・・