「激痩せウィテカー」クライム・ボーダー 贖罪の街 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5激痩せウィテカー

2021年2月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 『暗黒街のふたり』(1973)のリメイクだそうだが、ニューメキシコ州の乾いた空気と黄色い太陽が、多分オリジナルとは雰囲気を変えているのだろうと想像できる。

 仮出所したガーネットに対して、部下を殺されたアガティ保安官はどうせ再犯するだろうと町から追放したくてたまらない。せっかく牧場という就職先も決まったのに、「やつは犯罪者だから、いつ誰を殺すかわからない。俺だったら家族をやつから遠ざけるけどな・・・」と牧場主を脅したりする。一方、彼の根が優しいところを見抜いていたスミス保護観察官は何とか更生させようとし、元犯罪者仲間のテレンスが執拗にガーネットを悪の道に誘おうとするという構図になっている。

 2021年は邦画でも『ヤクザと家族』や『すばらしき世界』で出所した者が生きづらい世の中を描いていたが、元々そうした作品は多かった。再犯率の高さからしても、うまく更生して真っ当な人生を歩むことが難しい世の中なのだ。人生の半分を刑務所で暮らしたという割には銀行員の女性テレサを見事に口説いてみせたが、不自然なところはそれくらいだろうか。

 シンプルなストーリーだが、オープニングの夕陽の中で石を使って殺人を犯すシーンは18年前のものだと思っていたけど、ラストのシーンに繋がるんですね。まぁまぁの演出。キレやすい性格のため、やっちまった感も満載だ。

 また、イスラム教に改宗したというのも残念ながら効果がなかったし、“贖罪の町”という副題もいただけない。牛がいっぱい出てくるので、むしろ“食材の町”かと。ちょっと関係ないけど、保護観察官のことを「エージェント・スミス」と呼んでいたので、思わず『マトリックス』を思い出したのは言うまでもない・・・

kossy