「しかし、どうやって戻ってこれたのか?」ボーダーライン(2015) Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
しかし、どうやって戻ってこれたのか?
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麻薬戦争という題材はさておきベニチオデルトロの演技に引き込まれる。彼の身に過去起きた事件について彼はあまり語らないし、その後の彼の苦悩や葛藤についてもあまり触れない。今の彼の仕草からおもんばかれと言わんばかりの不惑の行動、虚無感と哀愁が支配する。
最後の主人公の行動は、邦題のテーマ性によれば超法規を是認せざるを得なかったということかな。警官は罰してはいけないという職業倫理が歯止めになっているようにも見えるし、単に優柔不断にも思える。別にそれでも良い。戦争とはいえ、法規と超法規が交わる街、超法規を正当化する理由はないんだから。
麻薬戦争は大麻薬消費地アメリカに寄生したカルテルがメキシコ政府の制御できないところまで膨らんだ訳で、そもそもアメリカ社会が麻薬と縁が切れないことの方が問われるべきではと思いながら見ていた。日本との違いは何か?単に地続きとか壁を築けばどうにかなるもんでもないように思う。その辺の深掘り感は、やはりデルトロが出てた傑作トラフィックの方が一日の長があるように思った。
暗視スコープの映像や空撮、夕陽に消えるコマンダー後、音楽の不気味な感じが良く、役者、演技に引き込まれる。普通にハードボイルドタッチのサスペンス娯楽作品としてでも面白い。
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