「浅はかでした。ネタバレあります。」ボーダーライン(2015) toshitoraさんの映画レビュー(感想・評価)
浅はかでした。ネタバレあります。
クリックして本文を読む
ワタクシ、映画を観る時は敢えて余計な予備知識を持たない様にして行きます。でも何かしら期待を持って行くわけです。
この映画には浅はかにもジャック・バウワー的なものを期待して行ってしまいました。
アタシが甘かったです。
スタイリッシュな映像と音響、全く勧善懲悪的ではないストーリー、でも作品全体を貫く緊張感は24Twenty-four的かな。
勧善懲悪的カタルシスなど無い泥沼の様なメキシコの麻薬の現状を描いているわけですが、唯一ワタクシがカタルシスを感じてしまった描写があります。
それは・・麻薬界のボスに娘と妻を無残に殺されたヒットマンがこいつの家に乗り込みます。ボスは息子二人と妻、計四人でディナー中です。そこで絶体絶命のボスは家族には手を出さないでくれと命乞いをします。
ヒットマンはそんな願いにも容赦無く家族を先に撃ちます。そしてそれまでの余裕とは違った怯えと恐怖に満ちた目をしたボスを処刑します。
ワタクシは先に家族を撃つ、そこにカタルシスを感じてしまったわけです。そうだそっちが先だよなと。当事者でも無いワタクシがそう思ってしまったのです。
安っぽい主人公なら家族は撃たないでしょう。正義の味方的な。本当に家族を殺された当事者なら家族が先だろうと。リアルだなと。
そしてワタクシは今も世界中で起きている報復という負の連鎖について考え込んでしまうのです。
そこには正義など無いのだと。重い映画でした。
コメントする