「駄作そのもの」ロイヤル・コンセルトヘボウ オーケストラがやって来る 小太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
駄作そのもの
世界の至宝,ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団創立125年記念作品。
だが,なんと,この作品にはこのオーケストラの独自性や独特の音色や素晴らしい機能性などの素晴らしさを増幅してくれる内容は一切ない。コンセプトは音楽の持つヒューマニズムやインターナショナリズムの強調ただそれだけであって,オーケストラがロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団でなければならない必然性が全くない。この映画を見ても人生観,世界観,音楽観が変わることはないと断言できる。ゆさぶられることすらない。
冗長で構成感に乏しい100分の後に残るのは,お涙頂戴のセンチメンタリズムだけ。それでも良ければご覧あれ。
指揮者のヤンソンスも,登場する楽員も,ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団も,聴衆も,他の誰か,どこかのオーケストラと交換可能。「ジェットセット」がオーケストラの独自性をなくしたのは過去の話。いまやオーケストラ自体が「ジェットセット」になってしまっているという皮肉な内容だ。メンゲルベルクやベイヌムがこの映画を見たら悲しむだろう。
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