「モコモコ羊とおじいちゃんズ」ひつじ村の兄弟 つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
モコモコ羊とおじいちゃんズ
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まず最初に言いたいのは、予告編で受ける印象ほどコミカルでハートフルな作品ではないということだ。見ようによっては全編ユーモアの塊だったと言えなくもないが、もっと残酷でシリアスな作品だよ。
だけど、裸のおじいちゃんと裸のおじいちゃんと裸の羊がアイスランドの自然の中で暮らす物語でもある。
それで、アイスランドにおける羊の重要性とか、伝染病のこととか、兄弟のこととか、見るべきところは多いけど、やっぱり一番重要なのは兄弟のことだろうね。
二人が40年も口をきいていない具体的な理由は明かされない。まあ、なんとなく観ながら考えていけば複合的な何かが見えてくるし、そこから派生して、兄弟の微妙な関係と、それが修復?と言っていいかわからないけど、ポジティブな変化を楽しむものだと思う。
だけど、牧羊家の人々が大変なことや、羊が可哀想なこと、酷く残酷な出来事、それらをよく理解した上でも、獣医の決めたルールには従わないといけないと思って、兄弟を応援する気持ちになれなかったのは大きなマイナスだったよね。
常にどこかにモヤモヤが残っていて、ラストまでスッキリすることはなかった。
カンヌ国際映画祭のある視点部門の受賞作だし、なんとなくわかってはいたけど、娯楽要素がちょっとばかり薄かったかな。
原題の意味は「子羊たち」
居場所を失くし、救いを求め山に登っていく迷える子羊たち。雪山は吹雪になり、裸のおじいちゃんと裸のおじいちゃんと裸の羊は、その中で殉教する。
アイスランドはキリスト教国だけど不信心だから見当違いの見立てだけど、自分ではなんか面白いなと思った。
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