「成龍五輪」ドラゴン・ブレイド ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)
成龍五輪
ジャッキーごめんなさい!この作品、全然期待していませんでした!だって、『MYTH/神話』しかり、『ラストソルジャー』しかり、ジャッキー×歴史物=当たりなしの法則ができていたのですから…
でも、本作はアクションとコミカルさがありつつも、平和メッセージを伝えるシリアスさがバランスよく配合された安心のジャッキー品質。ローマの落武者軍団と中国の民族とが力を合わせて、シルクロード征服を目論む暴君と闘うということもあって、砂漠で繰り広げられる騎馬戦は近年稀に見る大迫力!逆にここまで話もアクションも広げちゃって大丈夫かな?と心配になったけど、最後はエンターテイメントとして上手くまとめてくれました。
とは言え、この映画の最大の見せ場はカンフーでも騎馬戦でもなく、闘いを通じて出会った異なる民族が助け合いながら結ばれていく絆ですね。中盤に描かれる中国の兵士とローマの騎士との手合わせのシーンはまるでオリンピック競技のよう。武術は闘いの中で使えば命に関わってきますが、互いへの理解や尊敬の念があれば、武術はコミュニケーションの一つとなり得るもの。実は闘いと理解は表裏一体なのではないかと考えさせられます。
すごいシンプルだし、少年漫画のような友情の描き方だという批判もあるかもしれませんが、ジャッキー映画は単純で良いのです。というか、子供が見ても分かるくらいの親切設計にすることで、次世代を担う子供たちにも本作の意図を感じ取ってほしいという狙いがあるのではないでしょうか。
ローマ軍との友情が結ばれていく様があっさりし過ぎていたかなぁ、という印象が拭えませんが、中国版は日本版より20分以上も長いそう。もしかしたら、中国版を見たらこの不満は払拭できるのかもしれませんね。