「影絵の意味するものは?」ひそひそ星 mittyさんの映画レビュー(感想・評価)
影絵の意味するものは?
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園子温による、2015年製作のモノクロSF映画。
人工知能を持ったロボットが8割、人間が2割となった未来の時代、宇宙船に乗ってアンドロイド鈴木洋子が荷物配達員として、銀河を浮遊する話。全体的に静寂に満ちていて、音のないプラネタリウムにいるような感じ。
日本家屋の長屋がそのまま宇宙船になっているのを見た時は、ちょっと笑ってしまいました。
それにしても、どんなメッセージがあるのだろう?
正直なところ、残念ながら、今のところ私には奥の深さが理解できませんでした。
この先、ストーリーがどうなるか考えながら見ると、置き去りにされて、途中で見るのがイヤになってくると思います。前半30分を過ぎたところで、やっと、鈴木洋子以外の人物らしき人間が現れました。
ただ思ったのは、あまりにも欲望に心が支配されて、あれもこれもと精神が忙しい時なんかに見ると、シンプルになれるかもしれません。自分がそうでした。だから、よくわからないなりにも、嫌いになれない映画でした。
テレポーテーションが発達して、瞬時にどこにでも移動できる時代となり、最初のうちはそれが便利でよかったが、人間は「距離と時間の憧れ」を失って退廃的になってしまった…つまりは、この鈴木洋子は、絶滅寸前の人間たちに心のトキメキを配達し続けているのか?
エンディングの影絵のシーンは美しくも哀しい感じ。荷物を影絵の女性が受け取った途端、悲しみに暮れるのは何を意味しているのか? 親しい人が亡くなったことを告げるものが届いたのか? 心に封印していた悲しい出来事を再認識しなくてはいけないもの(形見のような)が届いたのか? 影絵そのものが、過去の回想を意味しているようにも思えました。
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