ナイト・アベンジャー

2011年製作/102分/ロシア
原題または英題:Realnaya skazka

スタッフ・キャスト

監督
アンドレイ・マーモントフ
脚本
アンドレイ・マーモントフ
セルゲイ・ベズルコフ
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映画レビュー

3.5レビューが1つもねえ!!笑

2019年12月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

楽しい

単純

またマイナーな映画を見てしまったのか…
まぁ、ロシア映画なので、あまり日本ではメジャーになりようがないのかも。
内容も、ロシア民話を知らないと「???」って感じのシーンが多く、キャラ設定も映画で説明されず、「知ってて当たり前」で話が進んでいくので、確かに他国で売るのは難しいですよね。

あらすじ:
主人公のサーシャは、母親から小学校1年生の妹オレーシャの迎えを頼まれていたのに、部活に夢中で5分遅刻。オレーシャは誘拐され、母親に批難・失望される。しかし浮浪者風の男に「妹はカスチェイに攫われた」と教えられ、その直後、男は車に撥ねられ絶命。この男は木の精で、カスチェイのことを人間に漏らしたがために殺されたのだった。サーシャはオレーシャを助けるため事情を探ることに。調べていくうちに、英雄や妖精などおとぎ話の住人たちは、カスチェイという悪魔に人間界に追いやられ、人間として生きることを強要されていたことを知る。人間たちがおとぎ話を信じなくなったために、英雄たちは力を失い、悪がのさばることになったのだという。サーシャは妹を助けたい一心でかつての英雄たちに話を聞こうとするが、力を失い悲嘆に暮れ心も弱った英雄たちは協力してくれず、唯一カスチェイに真っ向から反抗し続けていたイワンと共にカスチェイの住処へ乗り込んでいくが…

おとぎ話(民話)がベースなので基本はファンタジーだし、主人公が妹を助けるために試行錯誤するのがメインストーリーなのですが、如何せんサイドストーリーが「力を失ってヤサグレたかつての英雄たち」なので、結構現実的というか、あんまり小さい子と一緒に見るおとぎ話・ヒーローものみたいな話ではないです(^^;
どちらかというと、子供心を失ったくらいの年齢以上じゃないと面白くないかも。あと、血飛沫は割と凄いので、元々小さい子向けに作ってはいないでしょう。

ヤサグレヒーローの一人が「人間はすぐに新しいものに飛びつくくせに、困った時だけ『英雄はどこへ行ったんだ』と責め立てる」なんて言っちゃうくらいですから、少なくとも小学生以上じゃないと楽しめないでしょう。プリキュアとかレンジャーとかを映画館でマジになって呼べる年齢の子に見せる映画じゃないですね。
「ジェダイだのホビットだの」とか「ポケモンでも呼べよ」みたいな台詞もあって、ヒーロー映画や子供向け(?)映画が好きな人には結構クスッとくる場面も。主人公がスパイダーマンの帽子被ってたりね。

アメリカ映画のようにド派手な演出で格好良く敵を倒す!という流れではないものの、これはこれで簡素で良い。映像もSFXでヌルヌル動く、CGバリバリのアメリカ映画と比べてしまうと安っぽいですが、演技と内容主体で撮る映画って本来こういうもんだよね~とちょっと和みました。
最近人気のアベンジャーズなんかみたいに、衣装までCGで作る感じでは全くなく、手作り感があって自分はこういうのも結構好きです。CGバリバリも好きですが。映像の美しさや迫力を楽しむ映画と、演技やストーリーを楽しむ映画、完全に別物として楽しむものと思ってます。

さて、内容を深く掘り下げていくと、アメリカ映画とストーリー展開が違うのも納得の話で。ロシアの情勢的に、何となく希望が持てないというか、毎度勝ってるめちゃ強のヒーローが今回も必ず勝つ!…とは限らない。悲しいことに、アメリカみたいに「ヒーローが来た、もう安心」って雰囲気じゃない(最近はアメリカもそう単純ではありませんが)。
現実的に「救いはない」と思っている人が多く、アメリカではそういった貧困層は存在さえ消され見向きもされないようなところがありますが、ロシアではそういった層が、もはや存在を消せるほど少なくない。国全体にそういった暗雲が常に付きまとう、そんな雰囲気がこの映画にも感じられます。
現実に希望なんてない、でも一筋の光を信じたい気持ちがある、そういったストーリーの映画がロシアのものには多い気がします。

とはいえ、この作品はそこまで陰鬱な雰囲気があるわけではなく、気軽に見られる映画ではないかと思います。日本人の好きなハッピーエンドだし。
明るい未来を感じさせるラストも良かった。

明るいファンタジーや躍動感のある冒険譚、映像技術などを求めて見るとガッカリするかもしれませんが、あくまで少年が家族を助けるために頑張るストーリーとだけ思って見れば、充分楽しめる映画かと思います。
自分はたまたまGYAO!で無料公開されていたので見たのですが、なかなか楽しめました。
お金出して観に行くか?と言われると、ウーン…という感じですが(^^;

人間が信じる心を失ったからどーのこーのって映画はアメリカにも日本にもありますが、ロシアの映画には切羽詰まったものを感じます。
画面上はあまり色彩がありませんが、暗い話ではないので、小学生以上の子にでも。
どこかで見掛けたらぜひ。

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alala