「魂の自由へ」リリーのすべて everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
魂の自由へ
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私の聞き間違いでなければ、劇中で"the Danish girl"と呼ばれていたのは主人公の妻Gerdaでした。
不本意ながらも夫の繊細な美しさを見い出し、それを芸術へと昇華させ、伴侶を真の自由へ解き放った彼女。日に日に女性になっていく(元)夫との生活で、自身も女性として「男性」に寄り掛かりたい気持ちを抑えつつ、主人公を支え続けます。愛する「夫」を手放し「女性」として受け入れ、伴侶の魂を解放したのです。性別を超えた人間としての愛。同性愛などがタブーのこの時代でも、芸術家だからこそ出来たことなのかも知れません。
一方で自分の中に秘められた、長年見過ごされていた「Lili」を抑えきれない主人公。愛する妻の為に男性を演じ続けることが出来ないほど、女装をきっかけに性の不一致に目覚めてしまったのですが、もう少しGerdaの立場を思いやれないものかと、考えてしまいました。「夫」の時の方が気遣いがあって優しかったと言うか、女性になればなるほど、大胆に我が道を進むような印象でした。主人公が妻に与えることが出来たのは、絵画のテーマ、画家としての成功への切符でしょうか。
Gerdaこそ"THE Danish girl"だと思いました。
残念ながら、泣くほどの感情移入は出来ませんでしたが、迫力の演技からか、どっぷりと見応えがありました。
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