劇場公開日 2015年12月23日

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「闘え!二人のファイターよ!」クリード チャンプを継ぐ男 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5闘え!二人のファイターよ!

2015年12月30日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

今年の劇場鑑賞大トリは「スター・ウォーズ」と決めていたが、都合で「母と暮せば」が大トリ…と思ったら!
「母と暮せば」を観に隣町の映画館まで足を運んだら、観たい!!と思ってた本作も時間が合い、年末悔いが無いよう、久々に二本梯子。

「ロッキー」にスピンオフが作られると聞いた時、ほとんどの人が、まだやるのかよ、コケるぞ、と思ったに違いない。かく言う自分も。
でもあらすじを聞いた時、ちょっと胸躍るものを感じたのも事実。
結果は後者に傾いた。

ロッテントマト支持率90%以上!
本当に本当にミーハーで申し訳ないが、日に日に観たい思いが募り、今日に至った。
良かった!感動した!「SW」よりイイぞ!

ストーリーがファン泣かせ。
ロッキーがかつてのライバルの息子をコーチするなんて、胸激アツ!
これに熱くならない男は、男じゃねぇ!

とにかく、監督のライアン・クーグラーがどれほど「ロッキー」を愛しているかひしひしと伝わってくる。
ファンなら堪らないオマージュやリンクネタがあるからじゃない。
「ロッキー」の最大の魅力は、這い上がる者のドラマである事。
「ロッキー」第1作目で“イタリアの種馬”というリングネームの無名ボクサーに胸奮わされたのは、逆境に立ち向かう姿が熱く描かれていたからこそ。
アポロの息子である今回の主人公アドニスは、仕事は充実し、不自由ない生活を当初は送り、ロッキーとは真逆。
が、実際は愛人の子として生まれ、父も知らず、私設に入り里親を渡り歩き…暗い背景を持つ。
仕事の合間、こっそり試合に出る。
体の中に流れる偉大なボクサーだった父の血が騒ぎ、全てを捨て、ボクサーとしての道を選ぶ。
変化球ながら、ゼロから這い上がる姿はうっすらロッキーを彷彿させるものがある。
マイケル・B・ジョーダンの真摯な演技は素晴らしく、造り上げたボクサー体型は言うまでもなく、中盤の長回しのファイト・シーンでは名試合を見せる。

そして勿論、この人について語るのを忘れてはいけない。
リングを下りたロッキーに、これほど感動させられるとは!
お世辞にもシルヴェスター・スタローンは演技が特別巧い訳ではない。
が、“ロッキー”という履き慣れた靴にぴったりと合った歳の取り方。
あのチャンプも確かに老いた。
が、その姿から人生の悲喜こもごもを滲ませる佇まい。
あちこちで囁かれているスタローンのオスカーへの期待。
今度の助演男優賞は本命不在の大混戦と言われており、キャリア、ハリウッドへの貢献度、今回のロッキー=スタローンそのものの存在感から考えても、受賞は絶対と確信している!

鶏を捕まえる練習、ランニング、ミッキーのジム、「女は脚にくる」の台詞、星条旗の柄パン、チャンプvs無名ボクサー、「ロッキー」と言ったらのあの名所…。
第1作目だけじゃなく各シリーズとのリンク…。
あのテーマ曲もここぞという時に流れ、かかった時のタイミングに目頭が…。
オマージュやリンクがあざとくではなくさりげなく挿入され、新たな物語を邪魔してない点にも好感。

戦い方にも生き方にも迷う若者に、人生の酸いも甘いも経験した年長者が道を示す。
完全に消えたと思われた男の闘争心に、若者が火を灯す。
父を知らぬ若者と愛する者を失った男の間に育まれる絆。
若者は偉大な父のプレッシャーに押し潰されそうになり、男にはある影が忍び寄る…。
だが、挫けない。
その拳で立ち向かう。
クリードを受け継いだ者として、伝説のチャンプとして。
闘え!二人のファイターよ!

地元では公開してないので一時は観るのを諦めたが、観れて良かった!
年間my BESTに入れられるこの喜び!

近大
としぱぱさんのコメント
2016年7月16日

近大さん、コメントありがとうございます。
いやー、感動の作品でしたね。
脚本が、すばらしくチャンプの血の流れが
ひしひしと感じられました。
書かれている通り、監督がロッキー大好きで
愛が感じられます。
SWのJJとはちょっと違っていてこのオマージュは
ありでしたね。
暑い日々が続きますがお体に気をつけてお過ごしください。
私の三連休は家で映画三昧です。

としぱぱ