劇場公開日 2016年1月16日

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「最後にアジサイは枯れたのかな?」縁 The Bride of Izumo R41さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5最後にアジサイは枯れたのかな?

2024年7月12日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

2016年の作品
タイトルがテーマ
縁という言葉が持つ神の視点を表現した作品
最大の謎である父の行方
婚姻届けの束とそこから拾い出した最新の住所宛てに祖母が手紙を出したこと。そしてその手紙が宛先不明となって戻ってきたこと。
この最新の命日がいつだったのかが明確にされていない。また、マキが6歳の時に母が急逝しているが、それから命日に必ず届いていた婚約届。その枚数もわからない。
結局父は登場しない。
このことは何を物語っているのだろう?
マキの心境はミツルとの会話の中で明らかになっている。その状況から鑑み、マキはかなり鬱状態だったのではないかと想像できる。
両親を知らないことは夫婦関係を知らないことになる。それが不安なマキ。
マキは当初、祖母の遺品から出てきた大量の婚姻届けの束に絶句する。
祖母が誰かからそれほどまでに愛されていたんだと想像した。
それではぜひその方に祖母の死を伝えなければならない。そう思った。
しかしその男の住所を訪ね歩いていると、それは父だということが判明した。
そうして全て調べたが、結局父は見つからなかった。
祖母が何を思っていたのかも、キルト作品に描かれていたアジサイと婚約者が持ってきてくれた宛先不明で帰ってきた手紙でわかった。
マキにとって、父の想いと祖母の想いがわかっただけで十分だったのだろう。
婚姻届けには日付が描かれていないので順番は不明だ。だから全部回る必要があったのだろう。祖母だけが知る最新の住所もすでに古かった。マキの年齢設定が29歳 母が死んだのが6歳 つまり婚姻届けは23枚あるはず。あったから探したのだろう。
また、
どんでん返しは婚姻届けの主が父だった。だけだ。
この作品はすべてが微妙にミスリードされている。
結局物語的な変化はない。
マキの家族の想いがマキに伝わっただけでマキの結婚も問題はない。
ミツルの問題は山積しているが、居酒屋店主に「一歩踏み出すとは、今いる場所からいなくなることだ」と言われ、幼い時の夢を思い出し、再び神楽を始めた。
つまり、
問題は問題ではなかったのだろうか?
それとも、縁が問題を解決したのだろうか?
何も変わってないのがこの物語。
私自身の見方が穿ってしまっているのか、バイアスに引っ張られているのか?
それともマキのマリッジブルーに付き合わされたのかな?
この肩透かし感を補うために父を登場させなかったのだろうか?
アジサイ繋がりが成立する場合、父の登場は必須ではなかったのかなと思った。

R41