「「ご縁」の不思議な力」縁 The Bride of Izumo Chiekoさんの映画レビュー(感想・評価)
「ご縁」の不思議な力
神々の国、出雲。
朝露に濡れる山々。
訪れる者に「本当に何か感じる…」と呟かせてしまう、幾重にも歴史を重ねた、魂に響く光景。
映画はクリストファー・ドイル氏によって撮影された、美しい風景から始まります。
横浜から移住した私にとって、出雲はとても不思議な場所。
「ご縁」「縁結び」と聞くと普通、恋愛のことを思い浮かべますよね。
でも、出雲ではそうではありません。
「家族、友人、仕事、場所、食べ物…」
全てに繋がるのが「ご縁」
何気なく行った場所から、どんどんご縁が結ばれていく…。
自然や人との出逢いに触れることで、深く自分自身と向き合い、見つめていく…。
そして想いもかけないところで、運命のような出逢いがもたらされる…。
出雲はそれを日常の中で自然と感じられる場所なのです。
この映画には「恋愛映画」には収まらない、深い出雲の神々の力が表されていました。
その映画の中で、花を添えるのが佐々木希さんの息を飲むような美しさ。
そして衣装です。現代女性の服装であひながも、美しい色合いが作品の中で重要な役割を担っています。
また、井坂俊哉さんの演技に心を打たれました。
井坂さんが演じるのは「出雲のしじみ漁師」
一見ぶっきらぼうに見えるしじみを扱う手さばき。その中に敬意と愛情を読み取れます。
そして目線。
湖をじっと見る時に、男としての決意を感じるのです。
この自然とともに生きることを決めている、実直な男。
神楽という土地に根付いた芸能を真摯に舞い、受け継ぐ覚悟を決めている男。
出雲の男。
井坂さんはきっと出雲での撮影の期間に、出逢った漁師や神楽の人たちをすごくすごく観察していたのだと思います。
肌で体得されているのを感じました。
素直に作業や舞の指導を受け、役に真摯に取り組んでいなければできないことです。。
井坂さんの俳優としての心意気が伝わる演技の数々でした。
そして、やっぱりこの方!
佐野史郎さんが登場する場面では毎回笑ってしまいます。
出雲に来たことがある人ならきっとわかると思う「出雲あるある!」がふんだんにちりばめられています。
都会の人は「こんなことないでしょ」と思いそうですが、出雲に行ったことのない人は、見てからぜひ出雲に来てください。
本当に「あるある」です(笑)
出雲に来たことある方は「あの時の感動が再び!」という感じで甦ると思います!
出雲は人も自然も優しい場所。
そして自分自身と向き合う場所。
ぜひ、多くの方にこの映画を見ていただきたいです。
そしていつか出雲に足を運んでいただき、この不思議な「ご縁とお陰様」を体験していただきたいと思います。
素晴らしい映画を、ありがとうございました。