「向かい合わない幸せ」セトウツミ 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
向かい合わない幸せ
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男子二人が座ってダベっている映画。
二人の視線は同じ方向、川の方を向いていている。
顔を向かい合わせなくても、二人で同じものを見ている、ただそれだけでほんわかと救われた気分になる。
(二人が向き合っているカットは案外少ない。並列、単体のアップ、瀬戸肩越しの内海のアップ、そんなカットが多い。)
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男子二人に、女子・樫村さんが混じってくる。
通学路のシーン。樫村さんと内海は最初同じ方向に向かって歩いている。男子二人なら、それだけで充分関係は成立するのだが、女子はそれでは満足しない。向かい合うことを内海に強要する。さらにはビンタまでする。
面倒くさいなあ、女子は。
内海にとって、向かい合いは面倒くさく、だが、ほんの少し嬉しく照れくさいことでもある。(瀬戸には樫村さんと向き合うことすら許されていない。青春とは何と残酷か)。
ラストは三人が同じ方向を向いているカットで終わる。その余韻がイイ。
クスっと笑えるセリフや俳優さんたちの演技だけでなく、さりげない構図の妙が光る映画だったなあと思う。
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