「迸る暴力と狂気…だけど、もやもやする…」ディストラクション・ベイビーズ しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
迸る暴力と狂気…だけど、もやもやする…
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予告編に痺れ、映画館へ足を運びました。
容赦無い暴力の連続と、若手実力派キャストの共演による演技対決がすごそうで、これは観るしかないな、と…
私が鑑賞した回は満員御礼でした。若い女性のひとり客も来ていて、とても意外だなと思ったのを覚えています。
愛媛県松山市を舞台に、暴力衝動が容赦無く周囲を巻き込んで、登場人物たちの運命の歯車が狂っていきました。
冒頭、静かな海辺の町の雰囲気と、主人公の振るう激しい暴力の鮮烈なコントラストに、目が眩むようでした。
とりつかれているような目つきが怖かったです。何かを証明しようとするかのように彼の暴力は拡大の一途を辿り…
柳楽優弥、菅田将暉、小松菜奈、村上虹郎…
日本映画界を代表する若手の中でも一際存在感の濃い俳優たちが濃厚な演技合戦を繰り広げていて、圧巻の一言。
憑依型と云うか、それぞれのキャラクターを見事体現し、画面から溢れ出す人間的な迫力に圧倒されっぱなしでした。
先鋭的な作品で、危険な気晴らしを振りかざす男の姿が鮮烈でした。ストーリーにめちゃくちゃ勢いがあって、「なんかスゲェもんを観たぞ」と云う興奮に包まれました。
しかし、映画館を出て冷静になってみると、柳楽優弥が暴力を振るう理由が今ひとつ分からないことに気づきました。
世の中のモラルやらなんやらを、全部破壊してやろうと云う心境だったのか?―世間を賑わすことで己の存在を認識させ、「俺はここにいるぞ!」と叫びたかったのか?―いちばんセンセーショナルな方法が暴力だったと云うことか?
最後の最後、もやもやが残りました。
※修正(2022/09/11)
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