「邦画ならではの良作」永い言い訳 osincoさんの映画レビュー(感想・評価)
邦画ならではの良作
深っちゃん(深津絵里さん)が出てる時点で、私の中では評価ダダ上がり。なんとなく見始めたらとても良かった。
最初の髪を切るシーンで、長い付き合いからくる夫婦2人の溝がよく伝わってくる。
もっくん演じる作家の幸夫が、今まで自分の周りにいないようなタイプで、不思議な感覚で見ていた。
ああいうタイプの男性が、子供を目の前にしてあんな優しさを見せるなんて、意外というか、、そういう一面があったから2人は惹かれあったということなのか。単なる罪滅ぼしとは言えないくらい、子供たちとの関係が特別だった。本人が子供のような人だから、わかり合えたのかな。
なっちゃん(深っちゃん)の真意は語られないけれど、間接的に想像させられるシーンが散りばめられる。
未送信フォルダのメッセージは、すごいパンチだけど、それが真意とも言い切れない。幸夫くんを打ちのめすには充分だったけれど。
髪を切っているのが伏線であることもわかっていながら、だんだん伸びていく髪、散らかっていく部屋、モッくんの動作に、引き込まれていく。中からえぐられるような心情が、なんとも苦しい。
それなのに子供との対話はとても温かい。
子役がまたすごい。しんちゃんもあかりちゃんも。
自然体の演技といい、映画全体の空気感といい、是枝監督に通じるなぁ、と思ったら、西川美和監督だから当然か。
竹原ピストルの熱苦しさもいいスパイスで、子供心の葛藤も、ちゃんと回収してくれた。ゆきさんがいい奥さんでお母さんだったこともよく伝わる。なっちゃんがそんな家族と親しかったことは、とても意味がある。
余計なセリフがないシーンもあって、映画っていいもんですね、水野晴郎。と思った。
「ちゃぷちゃぷローリー」の完成度がすごい(笑)