「家族と在った日々」永い言い訳 kkmxさんの映画レビュー(感想・評価)
家族と在った日々
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複雑な味わいのある作品で、主人公のダメ男・幸夫がダメなりに人生を掴んで行くプロセスや、陽一一家の好演など見所の多い映画だなぁという印象です。
家族について思いを馳せました。作品のテーマとまでは言えないところですが、家族と在った日々のことを考えさせられましたね。
現在はすぐに過去に飛び去ってしまう。家族とのぬくもりある日々もすぐに昔のこととなる。
でもそれは虚しいものではない。ぬくもりの瞬間は紛れもなく幸福であり、それは宝物として心の中に蓄積されていく。
幸夫は自分しか愛していなかった。妻を失った時、宝物は残っていなかった。不倫相手との甘い時間はただ過ぎ去るだけのものだった。
逃避かもしれないし、本物の家族ではなかったけれど、陽一一家との日々は彼にとって宝物になったのだろう。それは幸夫だけではなく、慎平や灯にとっても同じ。塾帰りの真平を待つ日々は、3人にとってかけがえのない大切なものになって残っていると思う。
そんな宝物を得た結果、幸夫は愛が壊れていた妻との間にも、実は宝物があったことに気づく。そして、最後は静かに向かい合おうとしていたように思う。
永い言い訳というタイトル通り、幸夫は本当に言い訳がましい。
だが、妻が経営していたヘアサロンに向かった時から、幸夫は言い訳をしなくなったように感じた。
素敵な映画でした。
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