クリーピー 偽りの隣人のレビュー・感想・評価
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悶々と楽しめるというか
希薄な人間関係をこうも厭らしく猟奇的に描かれると、何にも反論できないし、否応なく納得もさせられてしまう。 いい話でもないし、恐怖と嫌悪に満たされる。ただ、終始画面に釘付け。分かりやすく移り変わる光加減が絶妙で、恐怖を煽り立てる音楽と相俟って、黒沢清ワールドに誘われる。 絵作りが何だか自分には合っている。非常に好き。 それにしても巧い、巧すぎる、キヨシクロサワワールドを完璧に構築してしまっている。 配役、演出に関しても、もはや神。決してうまくない西島秀俊、たおやかでなおやかな竹内結子、うまくて個性豊かな香川照之、きりっとしていながら暗い影を背負う川口春奈、青臭い東出昌大、役者の絡みや演技を見るだけでも面白いし、なんか笑える、あまりにも絵に描いたような演技にニヤニヤしてしまう。 現代社会をうまい具合に反映させた凄い話を考えるものだなぁと感心する。この卓越した創造性から、ファンタジーと見做すことこそが望まれる見方なのかなとは思うのだけれど、そのワールドは相変わらずあまりにも生々しく毒々しいものであるが故に、いい映画だからぜひ見てみて!とはなかなか薦めることができない自分がいる。自分は大いに楽しんだのだけれども─
腑に落ちない
映画にツッコミどころは付きものなれど、「なんで?」「どうして?」がけっこうあった。 前半はそれが面白くもあり、引き込まれつつあったんだけど、けっきょくモヤモヤしたまま終わってしまうという。 野上(東出)の、ほんの少しズレてそうな独特な雰囲気が、何か闇を抱えてそうで好きだったんだけど…。
これは見栄っ張りの映画
この映画。まず、何故こんなに西野が殺人を犯せたのか?が主題の映画。見た人はわかると思うが洗脳。だが洗脳の種類にも色々あるという映画。友達、生徒、同僚と色々な環境のなかで被害者達が好評価されたいという見栄っ張りな感情が引き起こした事が最高。最後はあっけない?エンディング曲ありのままででしょ。
黒沢清節が全開!
クリーピーという何と直接的なタイトルだろうかと少し不安だったが、
黒沢清節が全開だった為、監督のファンの僕は楽しめた。
前半は特に黒沢清らしい表現が続く。
独特な照明使い。
例えば失踪事件で残された娘が大学で事件を語るシーンはワンカット長回しだが、照明がゆーっくり暗くなっていく。娘の語りが終わると照明が前の明るさに戻る。
他にも、高倉夫妻宅での食事シーンで、高倉と西野が隣の部屋に移動しコソコソ話すシーンは極端に暗い上に、西野の背後の壁には緑の光が反射していて不気味だ。
劇中の部屋内には緑の照明なんて無い。そこらへんの辻褄や、物理的ロジックは、映画表現の為に無視するのが黒沢清映画の特徴なので、そこに付いていけない人は黒沢清映画を楽しめないかもしれない。
その様な照明の強弱や、異様な光色を使うのは、不吉さを表現する黒沢清ならではの手法なのだ。
他にも、東出くん扮する若い刑事が空き家に侵入するシーンでは、懐中電灯の光のフリッカーが出てしまっている。これはカメラのシャッタースピードをその光に合わせ無いが故に出てしまう、いわば光の波の様なもので、映像制作の世界ではタブーだ。しかしこれも不吉さを表現する為にわざと利用している。
風表現。
黒沢清映画には「風」も表現方法としてよく用いられる。
風になびく草木の影が壁に反射したり、外から入る風でカーテンが揺れたり…
今回は特に草木が揺れる。風の音を効果音として明らかに足している。聴覚的にも不穏さを表現している。
そして車窓のスクリーンプロセス。
これはもはや黒沢清のトレードマーク!
今時グリーンバックを使わずにスクリーンプロセスを使うなんてと思うが、監督は過去作でもスクリーンプロセスを使っていて、その意図は、異様な雰囲気を出す為と答えている。
何度見ても笑ってしまうが。笑
特筆すべきはあの死体処理方法!
死体を真空パックにするなんて今まで観た事がなくて新鮮だった!
文字通り「真空パックで新鮮だった!」笑
これは原作にはなく、監督のオリジナルアイディアとの事。
話のプロットは正直「冷たい熱帯魚」にそっくりだ。
近所のおじさんが連続殺人犯で、
まずは主人公の嫁が取り込まれる。
冷たい熱帯魚にそっくり。
ラストで死んだ父に暴言を吐く娘、ってのも冷たい熱帯魚にそっくり。
死体処理方法をじっくり描くのもそっくり。
黒沢清の過去作にもそっくりだと思った。
他者を洗脳して、人を殺させるという設定は「cure」の殺人犯と全く同じ。
西野宅のビニールカーテンも「cure」に出てくる。
西野の死体の周りを枯葉が舞う所を俯瞰で見せるラストは、「贖罪」の第2話のラストと全く一緒。
西野がテレビでクラゲを見ているが、「アカルイミライ」ではクラゲが重要な役割を担う。監督はどうやらクラゲが好きらしい。
黒沢清監督の初期作品ほど過激な描写や恐ろしい表現はないが、黒沢清ファンなら楽しめる作品だと思う。
自己責任、自己責任といって洗脳する恐怖
毎度毎度期待して鑑賞してはガッカリすることの多い黒沢清監督。 何度ガッカリしても、新作が公開されると次々と観に行ってしまう・・・ なんとも、はや、なんといっていいかわからないけれど。 大学で犯罪心理学を教える高倉幸一(西島秀俊)。 彼は元刑事で、刑事を辞めたのは一年前。 連続殺人犯の取り調べ中に、犯人が警察内部で人質をとって逃走し、その説得の最中に犯人に刺されてしまったのだった。 大学での教鞭を取り始めたと同時に、東京都下の一戸建てに引っ越し、妻(竹内結子)とふたり暮らしを始めることにした。 隣家2軒に挨拶に出かけると、両家ともそっけない対応。 特に、西野家の主の男(香川照之)は、若干人格障害ではないかとも思える行動だった・・・ というハナシに、6年前、東京都下の住宅街で起きた、未解決の一家三人失踪事件が絡んでくる。 タイトルの「クリーピー」は「不気味な」「気味の悪い」という意味で、映画全体が不穏な雰囲気に包まれている。 後から付けたサブタイトル「偽りの隣人」がほぼ映画の内容を暴露しているので、誰が事件の犯人か、隣家の男の正体は何か、というのは、ほぼほぼ読めてしまう。 しかし、この映画、抜群に面白かった。 西野家の男は不気味で異様なんだけれど、当初描かれる男の様子は、なんだこの程度ならフツーにいるじゃないかと思ってしまう。 静かな住宅地で、近所ともあまり付き合いがなく、休みの昼間にゆっくりしているときに呼び鈴を鳴らされれば、ま、不機嫌にはなるわなぁ、と。 たしかに、会話のやり取りなどは、うまくキャッチボールできていないので、ヘンだとは思うけれど。 で、この映画の面白は、そんな男がどんどん他人の心に入ってきて、支配下においていくところ。 支配するには、ある種のネタがあるのだけれど、そのような飴がないと、他人様を支配下におくことは難しい。 そして、ひとたび支配下に置いたならば、彼らの行動についての動機づけを「さも、彼ら自身が行った」と思わせる。 「自分に責任はない。やること(やったこと)すべては、お前たちの責任だ」と平然という。 これは「洗脳」にほかならないのだけれど、この「洗脳方法」の平然さと無責任な理論が怖い怖い、恐ろしい。 この洗脳方法、絵空事でないような感じがして怖かった。 すぐ、そこいらあたりにもありそうな感じ。 「やったことすべては、お前たちの責任」、この言葉、簡潔に言えば「自己責任」。 「オレがやっているのは、お前たちのためなんだよ」といいつつ、「結局、その責任はお前たち自身にあるのだよ」。 おぉぉ、怖い怖い。 いま、そこいらあたりで見受けられる情況と酷似してないか。 話は少し変わるが、この映画の中で描かれる「監禁」。 最近の映画では監禁が描かれることが多いように感じる。 昨年の『プリズナー』『特捜部Q 檻の中の女』、今年にはいって『ルーム』『シークレット・アイズ』『10クローバーフィールド・レーン』。 いずれも外国映画だけれど、とても気になる。 それぐらい、世間が閉ざされているということなのだろうか。 エンディングは一応ハッピーエンドだけれど、個人的にはハッピーエンドでなくてもよかったかもしれない。 (もう少し前で、終わってもよかった) そうすれば、さらにさらに、不穏で不気味で、最高に後味の悪い映画になったと思われるのだが。
これはサスペンススリラーではなくホラー映画の部類。東出昌大、笹野高史など次々に殺されていく人たち。。「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です」
Movix堺で映画「クリーピー 偽りの隣人」を見た。 月曜日の初回の上映。 11時半の開映なので、お昼をまたぐ形になる。 なので、食事は場内で摂ることになる。 冒頭から警察官である西島秀俊が容疑者を取調べする場面。 数分後、容疑者が警察署内から逃走を図り、人質を取る。 あっけなく人質は命を落すことになる。 物語が進むにつれ死人の数は増え続ける。 警察官である東出昌大、笹野高史もいとも簡単に命を奪われる。 これはサスペンススリラーではなくホラー映画の部類なのではないか。 例えるなら、1999年に上映された、大竹しのぶ主演の「黒い家」のような。 それから、 ブルース・ウィリス、サミュエル・L・ジャクソン が出演し2000年に上映された映画「アンブレイカブル」(Unbreakable)にとてもよく似ていると感じる。 竹内結子が香川照之にコントロールされる方法手段や 藤野涼子の母親がハンドガンで撃ち殺される場面、 その他、多くの死体を香川照之が始末させる場面はぞっとする。 この内容で映倫区分がGだというのはどうだろかと思う。 PG12がR15指定くらいが適当ではないだろうか。 上映時間は130分。 長さは感じない。 ホラー映画として見るなら、 満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
先に怪演だの構えさせられちゃったら・・・
※此処に香川照之を好きで、出演作品をわりと観ているから,感じた事を言いたい所… 彼一人で作品を恐くさせているだけで、周りが着いて来れていなくない⁈ 無理矢理,お化け屋敷風のシチュエーションを取り入れて、全然怖くも無い着いて来れていない脚本の台詞も,その場の雰囲気?ムード?欲しい感じ?〈勝手な自分の求めたい風な言い方ですみません〉言え切れていなくないかい⁈なんて感じちゃったなぁ〜⁉️
どうやって
西野さんになったのか?という部分、人に入り込む術のようなものの描写が足りない気がしましたが、サイコパスとしては充分で、楽しめました。小気味よい恐怖感が、まさに、クリーピーでした。
後味の悪さは半端ない。不気味に迫る隣人の恐怖。
【賛否両論チェック】 賛:不気味な雰囲気の中、ありふれた幸せな日常が、徐々に狂気の事件へと変わっていく様子が、秀逸に体現されていく。演者さんの怪演も圧巻。 否:「なんでそうなったの?」と納得出来ない部分も多く、消化不良感はかなりある。グロシーンも後半で急に増えるほか、終わり方もやや唐突。 「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です。」 という不気味なフレーズが衝撃を与えた本作。ストーリーもそれに違わず、終始不気味な雰囲気が漂っています。そして特に後半は、前半とは打って変わった衝撃的かつ恐るべき内容が待ち受けています。 展開そのものは予定調和というか、 「こうなりそうだな・・・」 と思う通りに進む感じで、さほど新鮮味はありませんが、日常が狂気に変わっていく様が、一癖も二癖もある登場人物達と共に、淡々と描かれていきます。特に香川照之さん、見事すぎる怪演です(笑)。 ただ、辿り着いた真相でも、決して全てが語られるわけでもないので、 「えっ、結局・・・どういうこと?」 「・・・っていうか、どうしてそうなったの?」 という消化不良感は、かなり残りそうです。そうした意味合いでの後味の悪さも、賛否が分かれそうなところです。 とはいえ、何気ない日常が入り口となり、底なしの恐怖へといざなわれていくようなミステリーですので、気になった方は是非ご覧下さい。
さすがでした!
ゾクゾクする展開にヒヤヒヤするストーリー、待ってましたの香川照之のクドくてネチっこくて嫌らしい熱演!
何が本当で何が偽りなのか全てを疑いながらも最後は納得出来る展開。
やっぱり香川照之と西島秀俊の作品には外れが無いですね♪
クリーピーな世界観
原作未読です。 まず、ストーリー展開ですが、映画にありがちな『そこ、省略しちゃう?!』ってのは、この作品でもありましたが、それも含めて『クリーピーな世界観』といったところでしょうか。 とにかく『怖い』ではなく『不気味』といった感覚。視覚に訴えかけるよりも、直接、脳に訴えかける感じが、最後の最後まで続きます。 隣人役の香川照之さんは、静かに振り切れる言動が、より不気味さを増しています。 竹内結子さんも段々と不気味さに浸っていく感じがたまりません。 あと、これは余談ですが、以前、西島秀俊さんが『MOZU』で演じた刑事・倉木が、一瞬垣間見ることができます(笑) この映画、最初から『あの人、お父さんじゃありません』と答えを言ってしまっているのですが、そこに辿り着くまでの展開は面白く思いました。
香川照之の演技を見られるだけでも料金を払う価値あります。 香川さん...
香川照之の演技を見られるだけでも料金を払う価値あります。 香川さん演じる西野、第一声から早速普通ジャナイ感が半端無いです。一瞬でそれを感じさせる香川さんは凄い! いろんな伏線が未回収で終わるので、モヤモヤしたまま帰ることになるのですが、そのモヤっと感がいいというか。そこまでが演出なのかなーと感じさせる映画でした。
まさにクリーピーだが…
その名に偽りなしというクリーピーな映画だった。が、原作ありの割に話の作りが荒いなという印象。一応ハッピーエンドの部類に入るんだろうがカタルシスを得ない終わり方も個人的には残念。雰囲気は好きな感じだったが評価は「もう少し頑張りましょう」
どこにでもある、わけじゃないけど
おそらくモチーフは、北九州や尼崎の事件なんでしょうね。
どこにでもある、わけじゃないけど全くないわけでもないのが怖い。
小さな不信が家族に亀裂を生み、相手に話せない小さな秘密を作り、さらに孤立させ、小さな出来事を針小棒大に騒ぎ立てて負い目を感じさせ、最終的に完全に支配下に置く・・・。そのプロセスの全てが描かれてるわけじゃないけど、それがあったであろうことは暗示されている。
月並みですが、家族がしっかり話し合うことの大切さを感じました。
自分が実際にこういう場面に遭遇した時に、果たして逃げ切れるのだろうか?
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