「神田川だなぁ・・・」あの頃エッフェル塔の下で きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
神田川だなぁ・・・
パリなら、エッフェル塔の見える狭い屋根裏部屋。
東京なら、ズバリ神田川を見下ろす小さな下宿だろう。
女を愛しながら 猛烈に勉強もするあの頃の若者たちのララバイだった。
そして、あの日々の思い出をイジイジと今も引きずるってところだよねー。これってあの70年代を生きた人間たちの共通性なのかも知れないです、
かぐや姫ワールドです。
前半は、ラブストーリーのつもりでレンタルしたのにスパイ物を借りてしまったのか ??と面喰らった展開。
旧ソ連への潜入と旅券譲渡の後始末で、どうなる事かと思った。
でも、
「あの頃の自分」と「現在の自分」と、2つのポールのどっちが本物なのか、つながっているのか別物なのか。自分でもわからなくなるって象徴的なエピソードだったわけだ。
"分身"は死んだことを告げられて「自分の死亡報告書」を手に取るポール。刺さるシーン。
「あの頃のきみはもう死んだんだよね?」と、いきなり観賞者に差し向けられる問い。
フランス人も、こんなウェットな映画作るとは知らなかったわ。
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で、
唐突に自分語りをしますが-
僕も若い頃、いろいろ挫折して、嫁と子供を残してエッフェル塔に登りに行きました。
学生結婚だったな。
一緒にギリシャ語を勉強したのも映画と同じで(驚)。
塔の上からパリの煤気た象牙色の街並みを見渡して、そして手すりに寄りかかって真下を見下ろしたら、はるか遠くの緑の芝生に
Je t'aime Marie
と。芝生を靴で削って書いたのか、下手くそな大きな文字が読めた。
誰かがここでサプライズの告白したのね・・・
微笑ましくって、そこで日本の連れ合いへの絵はがきを書いた。彼女のあだ名もマリーだったのです。
・・・後年別れたけれど。
うひゃー!!
おいらも モロ「神田川」やってるし。