「どちらも誰しもなれる女じゃない。」嫌な女 movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
どちらも誰しもなれる女じゃない。
多分そもそも深い名作を作る気などなく、女友達同士で女子会ついでにサラリと見て笑って出て来られる作品を目的としている気がする。そして、それにはぴったりの内容と表現。
どちらが嫌な女?どっちも嫌な女?と見始めるが、どちらも良いところがある徹子と夏子で。
表現力共感力はないけどわきまえてて努力家な人と、明るくて愉快だけど善悪にはゆるい人が従姉妹同士だから、仲が悪いのは当然。でも、どちらも平凡でもなく、誰しもなれる女性ではない。2人とも、1番弱いところは人に見せなかったり、どちらもバツイチで、よく似ているところもある。
「特別」を好む従姉妹に、お揃いのワンピースを自分が褒められたからと言って破かれたら、そりゃあ苦手〜ってなるでしょう。大人になってからも、相手の気持ちなど関係なく押しかけてくる困ったさんの夏子。
でもそれには必ず因果応報、歳を取っても誰かの特別になるどころか、特別になっているようで邪魔者扱いされて居場所がない夏子。
地味でクールに見えるし損をしているようで、徐々に自分と違う人にも寄り添えるようになり、仕事の積み重ねが報われる予感のする徹子。
どちらが良いかと聞かれれば、どちらも嫌だから嫌な女、なのかな?
作中お人形のように意思を持たない者として登場する佐々木希を、黒木瞳は嫌味で起用しているのかなとか色々邪推してしまったが、最後に微笑みながら無言で股間を蹴り上げる佐々木希、良かった。予知映画のようにこの後プライベートで大変な流れになったが、この役の延長と思って乗り越えてほしい。
作中徹子の理解者だったみゆきさんが優しくて。
どんな女性になりたいかと言われたら、みゆきさんのようにありたい。良い人ほど早く亡くなるって本当だなと今作でも思わされた。