「二人の関係性と二国間の政治性」バジュランギおじさんと、小さな迷子 てつさんの映画レビュー(感想・評価)
二人の関係性と二国間の政治性
序盤では、「バジュランギおじさん」がなかなか出てこず、回想場面に移るとシャヒーダーが出てこなくなって、しばらく様子がわからなくなっていた。シャヒーダーが鉄道で迷子になってしまい、戻っていくという展開は、"LION"にも似ている。山への経路は、『ブータン 山の教室』にも似ている。
シャヒーダーの正体が少しずつわかっていく過程で、インド人のパキスタンに対する感情がわかる一方で、"VIVANT"のように砂漠を放浪して抜け穴を通って国境を越え、パワンがパキスタン人たちからスパイ扱いされるのがなかなか抜けきれないところに、互いの国の対立の根深さが窺える。『ガンジー』や『英国総督最後の家』にも通じることであろう。誤解が解けていって良かった。
パワンとシャヒダーとは、宗教だけでなく、行動選択の方向がしばしば反対向きになっていて、それがまた物語の展開に面白さを混ぜ込むようだ。
踊りの場面もあり、ラスィカー役のカリーナ・カプール氏は、『きっと、うまくいく』でみおぼえがあった。
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