「国家間の対立という非常にシリアスな問題を扱いながら、内容はあくまでエンターテインメント。映画のあるべき姿を示してくれる大傑作!」バジュランギおじさんと、小さな迷子 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
国家間の対立という非常にシリアスな問題を扱いながら、内容はあくまでエンターテインメント。映画のあるべき姿を示してくれる大傑作!
迷子になったパキスタン人の少女を、家族の元へ還す為に行動するインド人の青年の奮闘を描くマサラ・ロードムービー。
恥ずかしながら、インドとパキスタンの情勢について全く知らず、この映画の観賞後に勉強させていただきました。
まさかこんなに複雑で深刻な対立構造を成していたとは…。
この映画を観なければ絶対に調べることはなかったと思うので、それだけでもこの映画を観る価値がありました!
さて、この映画の扱っているテーマは宗教と国家の対立。
ヒンドゥー教とイスラム教の対立により二分されてしまったインドとパキスタン。今日に至るまで幾度も戦争を繰り返し、果ては両国の核兵器開発にまで発展してしまいました。
両国間の溝は非常に大きく、その間に横たわる憎悪については想像に難くありません。
恐ろしくナイーブでシリアスな問題を扱っておきながら、映画の内容は涙あり笑いありダンスありバトルありの完全なるエンターテインメント!
このバランス感覚が素晴らしい!
難しい問題をシリアスに撮っている映画は数々あれど、重いテーマを娯楽映画に完全に落とし込んでいる作品は稀有でしょう。
シリアス、なのに楽しい。この作品は矛盾している2つの要素を一つの映画のなかで完全に表現している。
こんなに完成度の高い映画は滅多に存在しないでしょう。まさに映画としての完成形を示していると言えます。
映画の内容は夢想的すぎるかも知れません。特に後半、パキスタンに入国してからの展開はあまりに現実味が無さすぎるとも感じました。
しかし、映画の中でくらい、国境と宗教を超えた人間同士の交流を見てみたいではないですか!
映画のテーマ性だけでなく、ビジュアル面でも非常に優れていると感じました。
国境に広がる砂丘の雄大さや、カシミールに広がる山々の美しさには息を呑みます。
そして何より、この映画の一番大事なポイント!
迷子の女の子シャヒーダーの可愛さがヤバい!これは天使だ…👼
とにかく、欠点らしい欠点のない、エンタメ作品の大傑作。
インド映画ほぼ初体験の自分としては、バジュランギ初登場のど迫力ダンスシーンを観て、完全にシャヒーダーと同じ感覚を味わえました。
これがカルチャーギャップというやつか…。
うちの仕事現場にインド人とパキスタン人がいて、並んで作業しているんですよねー
お互い核爆弾を向け合って対立する彼らの母国・・
「仲良くしなよ!」と願わずにいられません。
インド人にはナマステ、
パキスタン人にはサラーム。
笑顔の挨拶は超大事♥️
映画をきっかけに、新たなことを知るって、素晴らしいですね。調べた、たなかなかなかさんを、尊敬します。
そして、両国が仲良くなることに、この映画が、ちょっとだけでも影響できたら、素敵ですよね〜。