「妄想でも夢でもない、残った現実」女が眠る時 未佐緒00さんの映画レビュー(感想・評価)
妄想でも夢でもない、残った現実
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色々なクチコミとレビューを読んで好みと観る人を選ぶ映画かと思いました。
夢、現実、妄想なのかと思いましたが、自分が観た後、感じたのは現実です。
作家の妻が佐原と画策して夫に小説を書かせようとした、現実。
デビュー作以降はスランプに陥り、次の作品が書けいない作家の焦り。
初老の男と若い女の愛も非現実的に思えるけど、作家の目から見れば事実と現実。
女が眠る時というタイトルですが、眠っていても本当は目覚めているのではないかと思ってしまいます。
出てくる人達、名前が名字だけ、名前だけで呼び合うのが、日本映画なのに、まるで余所の国の映画を観ているような感覚に陥ってしまいます。
皆の台詞が断片的で、とりわけ、若い女、美樹が、あまり喋らないのがいいなと思いました。
他の役者リリーフランキーのとりとめない喋りに、もしかして深い意味が隠されているのかと思ったり。
空気や映像、音楽が観ている中、不安を感じるのですが、これがなんともいえず妙な感覚に観ている側を堕とそうとしているようです。
不思議なカップルに触発され作家が書いた本は売れたようですが、できる事なら、それを読みたいと思ってしまいました。
夢か、妄想か、現実か、正直ラスト近くになると、そんなことはどうでも良くなってきました。
「佐原さん」
呼びかけた清水に彼がなんと答えたのか、知りたいけど、いけないんだという気がします。
そして、最後の浜辺を歩くカップルの姿、これが全てを物語っている。
この光景を清水が観なくてよかったと思ってしまうのです。
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