劇場公開日 2016年9月1日

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「設定が面白い、ドラマ重視のSFアクション」セルフレス 覚醒した記憶 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)

3.5設定が面白い、ドラマ重視のSFアクション

2016年8月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

監督はターセム・シン。
2000年のデビュー作『ザ・セル』は観たものの、その後の作品は観ていません。
当時、「映像の魔術師」というように呼ばれていたと記憶しています。

ニューヨーク在住の建築家で大富豪のダミアン(ベン・キングズレー)は癌に侵され余命幾許(いくばく)もない。
そんな中、オルブライト博士(マシュー・グード)が開発した精神移転技術を聞きつけ、その技術にすがる。
その技術は、人工培養した肉体にダミアンの記憶や精神活動などの脳の機能を電磁的に移植するというもの。
電磁的手術は成功したようにみえたが、移植後のダミアンは幻影に悩まされるようになった。
その原因というのが、移植先の肉体は人工培養されたものではなく、これまで実際に生活していたマーク(ライアン・レイノルズ)という青年のものだった・・・

というハナシで、ちょっと設定が面白い。
劇中でも説明されるが、新しいパソコンに古いパソコンのソフトやデータをすべて移植するようなもの。
新しいパソコンは新品と思っていたが、実は中古で、過去のデータが消えずにそのまま残っていた、という感じ。

映画は、その後、移植先の肉体の秘密を知ったダミアンがオルブライト博士一味に狙われ、アクションが展開されるわけだが、アクションは、まぁ及第点(変にCG処理をしていない分、好感が持てるが)。

面白いのは、ダミアンに現れるマークの記憶。
若干の映像処理は加えられているが、短いショットが積み重ねられただけだが、なかなか効果的。
監督は「映像の魔術師」と呼ばれただけのことはある。
(ならば、CGを使った映像だと「映像の技術師」か)

映画の展開で興味深いのは、マークとして生きるかダミアンとして生きるかを、ダミアンが悩むあたり。
特に、マークの幼い娘には、いくら中身がダミアンでも、姿かたちはマークなのだから、マークにしかみえず、ダミアンもそれを察してマークのように振る舞っていく。
まぁ、人間は、肉体と精神で人間であるからして、肉体と精神を分離することなどできないから、結果はおのずとわかっちゃうとはいえ、このあたりなかなかスリリング。
「フランケンシュタイン」物語の変形、それもモンスター側から描いた映画ともいえなくもない。

演技陣ではライアン・レイノルズがなかなかいい。
中身の、紳士然としたベン・キングズレーが、ライアン・レイノルズの着ぐるみを着て演技しているようなところもあってね。

結構手作り感のあるB級映画なので、評価はオマケ。

りゃんひさ