「贅沢な映画。」殿、利息でござる! mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
贅沢な映画。
いま、日本で時代劇を作るのはかなり困難を極めると思われる。
そこへ敢然と挑戦した中村義洋のチームは、賞賛に値する。
まずは気持ちのいい映画になっているということだ。磯田道史の原作はいつもそうである。ワルい奴が出てこない。
主人公チームに立ちはだかる萱場(松田龍平)にしても職務に忠実なだけだ。
宿場町の負担を減らすために、藩に金を貸し出してその利息をあてる、という発想は当時なかなか思いつくことではなかっただろう。そもそも元手がないのだから。
本作は、その金集めに奔走する百姓たちが、メインに描かれる。
贅沢な映画だと思う。手元に資料がないので確かなことは言えないが、吉岡の宿場町のオープンセットは説得力があった。この町を救うために人々は一生懸命になる。
きっちりと作ればやはりいいものができる。本作はそのことを静かに証明している。
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