「挑戦的なエンタテイメントでありながら、新しい環境の中でのサバイバルにおいて科学的思考を学ぶことの重要性を体現」オデッセイ Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
挑戦的なエンタテイメントでありながら、新しい環境の中でのサバイバルにおいて科学的思考を学ぶことの重要性を体現
リドリー・スコット 監督による2015年製作(142分/G)のアメリカ映画。
原題:The Martian、配給:20世紀フォックス映画、劇場公開日:2016年2月5日。
未読だが、アンディ・ウィアー「火星の人」が原作。火星にただ1人で取り残された植物学者でもある宇宙飛行士マーク・ワトニー(マット・デイモン)が、科学の力で長期間サバイバルする姿が描かれていて、感動させられた。家族愛的人情もの要素は排除し、シンプルに科学的知識と実行力で生きていく描写、リドリー・スコット演出に、大いなる好意も覚えた。
じゃがいもと栽培研究用微生物は持ち込みだが、燃料ヒドラジンN2H4から水素を分離し、酸素存在下で燃焼させて、水を作り出した。そして、宇宙飛行士の排出物を肥料にして、微生物利用し、じゃがいも栽培に見事に成功。思わず拍手してしまった。送付情報が限定的な中、地球との二進法利用のアルファベットでの交信成功も見事に思えた。
救助に関して、地球の重力を利用して加速させるスイングバイを利用して帰還中の宇宙船を再度火星に向かわせる展開も、面白かった。見ている時は良く分からなかったが、地球が火星に向かって進んでいる時には、万有引力による推進力が相加的に加わるということらしい。「はやぶさ」もこの力を利用して小惑星に辿り着いたとのことで、映画では大発見みたいな扱いだったが、そんな特別のことでは無い様だ。
全体的に、挑戦的なエンタテイメントでありながら、新しい環境の中でのサバイバルにおいて科学的思考を学ぶことの重要性を体現しており、多くの日本の子どもたちに見てもらいたい映画に思えた。
監督リドリー・スコット、製作サイモン・キンバーグ、 リドリー・スコット、 マイケル・シェイファー 、アディッティア・スード、 マーク・ハッファム、原作アンディ・ウィアー、脚本ドリュー・ゴダード、撮影ダリウス・ウォルスキー、美術アーサー・マックス、衣装ジャンティ・イェーツ、編集ピエトロ・スカリア、音楽ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ。
出演
マーク・ワトニーマット・デイモン、メリッサ・ルイスジェシカ・チャステイン、アニー・モントローズクリステン・ウィグ、テディ・サンダースジェフ・ダニエルズ、リック・マルティネスマイケル・ペーニャ、ミッチ・ヘンダーソンショーン・ビーン、ベス・ヨハンセンケイト・マーラ、クリス・ベックセバスチャン・スタン、アレックス・フォーゲルアクセル・ヘニー、ビンセント・カプーアキ、ウェテル・イジョフォー、ドナルド・グローバー、
マッケンジー・デイビス、ベネディクト・ウォン、ニック・モハメッド、チェン・シュー、エディ・コー。