「老人にして類まれなる創作意欲に敬意を表するが、浮かんできたのは違う2人の「R」」オデッセイ しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
老人にして類まれなる創作意欲に敬意を表するが、浮かんできたのは違う2人の「R」
リドリースコット
前々作の「悪の法則」でようやく弟トニーに肩を並べたリドリーだが(オレはトニー派)、前作「エクソダス」でさんざんケチをつけてしまった(オレはエドガートンで満足)。
だが、リドリーの創作意欲、というか、本当にいろんなジャンルに手を出す、じゃなかったチャレンジする姿はまさに現在のハリウッドの巨匠だけにとどまらない姿勢が素晴らしい。
その彼が作ったのが、本作「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」。
じゃなかった「オデッセイ」
邦題については、またアレコレ言われているようだが、ハリウッド映画の原題でもずいぶんアレなものもあるので、正直どっちもどっち、というのがオレのスタンス。
さてそれはおいといて、さすがは、というか、船内のシーンやスペクタクルシーンは素晴らしい。
だが、ストーリーは省略や説明の取捨がどうもちぐはぐで、面白いと言いながら帰る観客は、それと同時に、「ようわからん」という消化不良も抱えながらの帰路となる。
画もいい、役者もいい。だが音楽の軽さと同時に、あえてちゃんと語ろうといない、というか、ちゃんと積み上げて、ラストのカタルシスまで導こうという気がないようにも見える。
いや、と言うより、この軽さに合った語り口がリドリーにはやはり出来ないのだ。
そう、この映画を観て、ごくごく自然に想起されたのが、「アポロ13」と「キャスト・アウェイ」。そう、二つのRとは、「ロン・ハワード」であり、「ロバート・ゼメキス」。
この二人だったら、もっと楽しかっただろうし、もっと盛り上がっただろうし、もっと分かりやすく観客を誘導したころだろう。
チャレンジ精神は大いに敬意を表するが、リドリーじゃなかったら、もっと、と思わせるのはかなり痛い。
奇しくも、同時期にこのハリウッドの巨匠3人の新作が公開されている(もっというとスピルバーグも、だな)という奇跡ゆえ、なおさらそう思う。
マット・デイモン。
デイモンのインテリ風はいいのだが、どうしてもトム・ハンクスが何度かやったような役にしか見えないことが悲しい。
絵的に今風であったり、ディスコ垂れ流しが旬であろうとも、題材は決して新しくないし、さらに語り口がうまくない、というのが正直な感想。
追記1
Turn the beat around
と言えば、オレはGloria Estefanのほう。そしてスライの唯一のファッショナブル映画「スペシャリスト」の主題歌。bowieの「Starman」より遥かに好きだ。
バカにした時点で減点。
追記2
役者がいい。特にキウェテル・イジョフォー、好演。