「"アイアン・マン"ファンが最も喜ぶラストのワンカット」スパイダーマン ホームカミング Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
"アイアン・マン"ファンが最も喜ぶラストのワンカット
素晴らしくバランスがとれていて、初心者もマーベルオタクも満足させるヒーローに仕上がっている。しかも超人ヒーロー伝説ではなく、"ダサかわいい"等身大の高校生の青春コメディなのだ。
15年で6作品目、しかも主役のピーター・パーカー役が3人目という量産型スパイダーマンは、"悪夢"だというファンもいる。そんな中での世界的な大ヒットは、何といっても"MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)"の1作として組み込まれたことが大きい。
大人の都合でディズニーのアベンジャーズに入れなかった、ソニーのスパイダーマンの、"どうしたらアベンジャーズの一員になれるの?"という想いは、ピーター・パーカーのセリフであると同時に、みんなの願いだったはずだから。
ところが、やはり大人の打算で合流することになった、トム・ホランド演じるスパイダーマンは、すでにディズニーの「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」(2016)に、ゲスト出演済み。よって本作は、"なぜスパイダーマンは誕生したか"には一切触れていない。映画ファンも飽きているからちょうどいい。
つまり何から何まで、スパイダーマンの描き方が今までの正反対である。路地でスーツに着替えたり、未熟で強くない。ヴィラン(敵役の意味)も怪物ではなく、普通のオジサン"バルチャー"。この設定がまたいい。
"バルチャー"を演じるのがマイケル・キートンというのがシャレが効いている。鉄の翼を広げて空を飛ぶ、まさに"バードマン"(←アカデミー賞ノミネート)だからだ。
「アイアン・マン」1・2作の監督ジョン・ファブローが、ピーターのお目付け役"ハッピー"で、久々の俳優出演。同じくグウィネス・パルトロウ("ペッパー"・ポッツ役)が、「アイアン・マン3」(2014)以来の顔見せで、ロバート・ダウニーJr.と3人が揃う瞬間は、MCUファンは狂喜乱舞だろう。
いつものスタン・リーのカメオ出演も前半にある(自分で探してね)。
初回はMX4D・3D・字幕版で鑑賞。MX4Dは相当こなれている。ピーター・パーカーとトニ―・スタークが車で移動するシーンで、自動車の細かな揺れまでも再現しようとしている試みには笑ってしまった。他人がプールに飛び込むシーンでの水しぶきはいらないけど。
(2017/8/11 /TOHOシネマズ六本木ヒルズ/シネスコ/字幕:林 完治)