劇場公開日 2016年1月30日

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「【人間の恨み、後悔がその後にその土地に住んだものに与える忌まわしき行ないを描く。派手な視覚、音響に頼らない中村義洋監督の力量が冴える映画。今作はホラー映画ではない。人間の所業を描いた作品である。】」残穢(ざんえ) 住んではいけない部屋 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【人間の恨み、後悔がその後にその土地に住んだものに与える忌まわしき行ないを描く。派手な視覚、音響に頼らない中村義洋監督の力量が冴える映画。今作はホラー映画ではない。人間の所業を描いた作品である。】

2022年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

ー ホラー映画というと、視覚的な仕掛けが重要視されているが、本作はそれを含みつつ、重厚な話にしている点が、稀代のストーリーテラーである、中村義洋監督の力量が伺える作品である。-

■小説家の「私」(竹内結子)は、読者の「久保さん」(橋本愛)からの手紙をきっかけに、奇妙な音がするマンションを調査する。
 すると、かつての住人たちが引っ越し先で自殺や心中、殺人などの事件を起こしたことが判明して行く。
 「私」は「久保さん」や同業者の協力を得て真相に迫ろうとするが…。

◆感想

ー 本作をホラーとして捉える人が多いとは思うが、今作はあくまでどこにでもある土着性ある人間の呪いが、後世に与えた影響を与えた状況を描いた映画である。-

・故に、今作のホラーテイストは、観る側を驚かせる構成にはなっていないが、逆にそれが怖さに繋がっている。
ー 自分が住む部屋、土地は大丈夫だろうか・・。-

<だが、日本では特に京都を代表として、過去に因縁がある土地は数多ある。
 私達に問われるのは、それを前提として、忌まわしき過去を経た精霊たちと、如何に折り合いを付けつつ、過ごすことなのである。
 今作の無理やり、ホラーテイストに流されない作りが、逆に怖いのである。
 流石、中村義洋監督であると思った作品である。>

NOBU