「戦争の定義が・・・」ドローン・オブ・ウォー ぶひひさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争の定義が・・・
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無人機(ドローン)で上空から標的を爆撃する。無人機だから反撃されることも無く次から次へと平然と民間人も巻き添えにして、攻撃は続行される。攻撃を受けるほうは、はるか上空の小型無人機に気づくわけも無く、狙われていることに全く気づかない。これでは行っていること自体が「暗殺」と同じことであり、次のテロリストを生みだす負の連鎖にしならない。そして、今はアメリカが一方的に無人機で攻撃しているが、アメリカが敵国とみなしている国が、無人機を開発すれば、アメリカの軍事基地がある日本も攻撃対象となる可能性もある。
実際に攻撃を遂行する部隊の人間は、非常に強いストレスにさらされ、精神を病みそうになるのだが、命令する上層部はいつの時代もそうだが、現場を無視している。ドローンもドローンを操作する人間もいくらでも代わりがきくからで、延々と「敵・悪」と見なされた国は攻撃され続ける。今の集団的自衛権や憲法改正も、現在の軍事技術をベースに議論されるべきで、何がテロで何がテロでないのか、等々いろいろと考えさせられる映画であった。
ラストに極悪非道な人間を爆撃するところ(実際には無理だと思うが)に、上層部からの命令から一時的にでも解き放たれ、何らかの「救い」にも見えなくもないが、それ以上に「こんなことまでできる」としか思えずただ寒い思いをしただけだった。
この映画には感動も涙もないが、時節柄見ておいてよかったと思いえる一本だった。
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