劇場公開日 2017年8月25日

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「希望を信じて戦う2人の物語を見届けて欲しい」ワンダーウーマン yuccaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0希望を信じて戦う2人の物語を見届けて欲しい

2017年8月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会、映画館

泣ける

楽しい

興奮

主人公のダイアナ=ワンダーウーマンが故郷を出て人間世界を知っていく物語だけど、相棒のスティーブ・トレバーあってこその成長物語。
人間を知らないダイアナに「人間」を体現していくスティーブ。
そのスティーブもまた、ダイアナに影響されていく。

もちろんダイアナが主人公で彼女の映画なのだけど、スティーブも裏主人公と言って良いほどだと思いました。
それぞれのキャラの特性をお互いに写しあっている…そんな感じ。
互いが互いに影響しあい、お互いの中に光を見つける。
バディというだけでもなく恋愛というだけでもなく。2人の物語だと思います。

宣伝を初めとして「女性が」「美女が」というキャッチコピーをやたら目にしますが、映画を見れば、そういう範疇の話ではない事が分かるはず。
映画自体は、人間の希望を見出していく「ワンダーウーマン」ダイアナの物語。

男というより、人間というものを知らないダイアナにとって、最も身近な人間がスティーブです。
彼を通じて人を知る。
人の営み、温かさだけじゃない。
人間の戦争、愚かさ…アマゾン族とは違う、人間の姿。
それでもなお、人が示す希望の力を知り、人が人を信じて未来を手繰り寄せようと足掻く姿を知る。
それはまさに人間賛歌。
それがとても感動的に描かれる。

この映画の本質はそこだと思いました。
それが「人を知らなかったヒーロー:ワンダーウーマン」が、人を知り世界を知り、人の希望を信じ、人を守ろうとするヒーローとなって行く…彼女の成長を通じて描かれる。

希望を示すスティーブ、希望を信じるダイアナ。
とても心打つストーリーです。ハンカチやタオルを持って行ってください、本当に。

ダイアナを演じるガル・ガドット、本当に仕草ひとつひとつがとても素敵でした。
屈託のない笑顔、素直に感情を伝えてくる演技、しなやかで力強いアクション。特に笑顔、本当にキュートです。

彼女だけじゃない。スティーブ・トレバー役のクリス・パインが本当にいい演技をしています。
上にも書いた通り、スティーブあってのダイアナの物語。
ダイアナにとっての導き手ではあるけれど、彼自身は戦争に翻弄される1人の人間。
それがダイアナと出会い、彼女の純真でまっすぐな正義感に、段々と希望を抱いていくようになる彼のストーリーもまた、この物語の裏の軸。

彼の終盤での演技が本当に素晴らしかった。胸を打たれます。
言葉を必死に探しながら、ダイアナに人間の本質を伝えようとし、それは同時に彼自身も人間の本質に向き合っているようで。
物語後半の彼の行動は、ダイアナを信じているからこその選択肢なんですよね。
迷うダイアナが、希望を見出してくれることを信じて。

そのことを悟ったダイアナが出した答え…

本当に、この2人の物語を見届けてほしいです。ご自身の目で見るべき映画です。
心を持って行かれる…そんな充足感に浸れる物語です。

アクション映画としては、しなやかで力強い体を使ったアクションが多く、肉弾戦主体なので見応えがあってかっこいい。
ストーリーにも工夫があって、第1次世界大戦が舞台の話で重くなってしまいそうなところ、コミカルな刺し色でクスッと心を軽くなるところもイイ。
そしてそれがウザくなり過ぎない程度にちょうどいい配分。
序盤のスティーブとのやり取りやロンドンでの諸々は、あまり「世間知らずお嬢様」ネタをやり過ぎるとクドくなってしまっただろうから、このバランスは絶妙です。

絶妙と言えば、あの大胆な衣装でありながらエレガントに感じられるダイアナの姿やバトルシーン、恋愛になりすぎない2人の撮り方など。
このあたり、本当にこの監督さんの力量なのだろうなぁと感じました。

ある意味直球で、オードソックスなところもあります。だからこそ、2人の物語が丁寧に描かれ、心に響く。

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yucca