ベル&セバスチャンのレビュー・感想・評価
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原点回帰
実は観るかどうか随分ためらった映画です、大型犬と子供となるとどうしても感受性豊かだったころに読んだ「フランダースの犬」が連想され条件反射的に切なさがこみあげます。
この映画の良いところは所謂愛犬家狙いのベタなワンちゃん大好きストーリーでなく実話に基づいたシリアス感を持ち合わせていることでしょう。もちろん犬と戯れる映像や時々バックに流れる主題歌にも愛情が伺われますが嫌味にならない上手さは長年ドキュメンタリーを撮ってきたニコラス・バニエ監督の上手さとセンスでしょう。簡単なようで無垢の動物や子供を描写するのは難しいものです、加えて自然の美しさや厳しさも描きとる卓越した手腕に脱帽です。
真っ白なベル(グレート・ピレニーズ)は美しさ、穏やかながら勇敢さも兼ね備えた名犬ですね、子役のセバスチャン(フェリックス・ボシュエ)の演技とは思えないナイーブさには感動しました。
映画を観ている間中、どうかこれ以上酷いことがおこりませんようにと祈る気持ちで画面を追っていましたので正直疲れましたが「子供たちや犬たちが幸せに暮らせる世の中にしなければ・・」などと年甲斐もなく青臭い心情がこみ上げてきたのには我ながら驚きました。
シンプルに美しい
昨年の鑑賞のなかでベスト3に入れた一本。
好きすぎて毎週通って、4回鑑賞した後、DVD購入。
セバスチャン役のフェリックス・ボシュエくんが、りりしい美少年。
あどけなさと、何というかあのあたりの国特有の独り立ちしている子供…のイメージがよく出ていたと思います。
険しい崖を降りられるか、と言われ、全く物怖じせず子カモシカを救ったり、撃たれたベルを救うために医師のギヨームと交渉して、言いつけたら逆に秘密を言いふらすよ!とえげつなく脅してみたりとか。
劇中の歌も彼によるもので、少年特有の高い声がとても沁みます。
ベル役のグレートピレネーズも大変よかった。
薄汚れた野獣の姿の時は目つきも厳しく、まさに野獣なのに対し、白く綺麗になって、セバスチャンに心を開いた後は、慈愛に満ちていたりおどけたり、とてもかわいらしく…役どころを理解していたのかな…と驚かされます。
おじいちゃん、セザール役のチェッキー・カリョもよかった。セバスチャンの母について告白するときは思わず涙を誘います。
ドイツ軍将校の彼も、実はいい人だった。基本的に悪い人は居ない、序盤のアンドレの言葉にこの物語が集約されていますね。アンドレ役の方はかつてテレビドラマの折りにセバスチャンを演じた、原作者のセシル・オーブリーの実子なのだとか。
探検家でもあるというニコラ・ヴァニエ監督の映像は、自然の移り変わりをとても美しくとらえています。
いつの間にか夏が過ぎ、秋が来て、やがて白い雪に埋め尽くされるアルプス。
厳しい冬が終わり春を迎える頃、同い年の友達も出来たセバスチャンを写して終わるこの物語はけれど、終わりのない物語でもあるのだと気づかせてくれます。
ほっこり。子供と観たい。
dvdにて鑑賞。
とにかく山々が綺麗で清々しい空気が伝わってくるようでした。
ベルとセバスチャンがだんだん心通う仲になっていく過程や次第に人に馴れて行くさまを見ながら心がほっこりして、かといってそれだけではなく適度にドキドキするシーンありでバランスが良く、良い意味で軽く鑑賞できました。
ある人は親代わりのセザールを駄目な保護者みたく言う人も見受けられますが、時代背景を鑑みると、学校に行かせる事が善で、行かせないのが悪とは、私は思いませんでした。
色々な理由で行かせられない人も沢山いたと思います。
あの自然豊かな環境、動物、暖かい人々に伸び伸び育てられてこその優しいセバスチャンなんだなあと、そんなセバスチャンだからベルも安心して友達になれたのではないでしょうか。
学校の勉強より大切な、人としての”徳”をセバスチャンに教えてもらったような気がします。
って大袈裟かもしれませんが私はそう思いました。
最後のシーンも、アンジェリーナは”子供と犬”ではなく”立派な男と相棒”として信頼出来たからこそ帰らせたのだと私は勝手に解釈しました。
もちろん現実に帰らせるしかない状況ですが…
いつか子供ができたら見せてあげたい映画のひとつです。
犬と子供、鉄板の設定だが脚本に難あり
2015/09/28、イオンシネマ港北ニュータウンで鑑賞。
子供と犬という組み合わせで面白くないわけがないんですが、前に原作が日本で「名犬ジョリー」というタイトルでアニメ化されたらしく、もしかして子供向けかな?と不安に思いつつも、皆さんの評価が高いので鑑賞することに。
しかし映画が始まると、アルプス山脈の壮大な自然をロケ地に本格的に撮っているなと感じて、これは面白い、と確信しました。最初は。
不心得な猟師に母親を撃たれて絶壁に取り残された子カモシカを救うために、年端もいかないセバスチャンを紐に括りつけ、恐ろしいほど高い崖から下ろす父代わりのセザールじいさん。それを怖がりもせず受け入れるセバスチャン。この関係を見た時、厳しい大自然の中、厳格にも温かい目で見守る保護者とそれに信頼しついていく子という関係が見えて、とても期待したのでした。
しかし話が進むと、セザール爺さんは酒好きで古い考えにとらわれ頑なで、セバスチャンを学校にも行かせないちょっとダメな保護者でした。
セバスチャンの方は家の手伝いもそこそこに山で遊んでばかりの普通の子でしたw
ベルとの出会いも最初こそ警戒されるも、割とあっさりなつかれて、この犬あまり人を恨んでないのかな?という感じ。
灰色で割とスリムだったベルが川で洗ってあげたら、真っ白でふかふかになって、別の犬のようになったのは笑った。
ベルがユダヤ人の国境越えを案内するシーンでは、どのように役立ったのかわからない。しかもクレバスにかかった雪の橋を渡るのにビビって更に落ちてるし。
なによりも最後のアンジェリーナの決断がありえない。まだ小さい子供と犬だけで、クレバスもあり雪崩の危険もある雪山を一人帰らせるなんて。
ちょっと大人の目で観ると、突っ込みどころがありますが、いい話だったし、子供の情操教育にも良さそうな映画でした。
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