ベル&セバスチャンのレビュー・感想・評価
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無駄のない編集は舌っ足らずと紙一重
大きな犬を、怪物扱いにして、水浴びをしたら、「あらビックリ、愛らしいピレネー犬でした」といういきさつを始めとして、とことん実物主義で、映像化にこだわったいい映画。CG全盛のご時世に、やっぱり映像はうそをつかないと確信しました。
少年の表情がとてもいい。
隠れたファインプレーとしては、編集の上手さもある。
前半の、可愛そうなシカの親子のエピソードは、ハンターに撃たれる決定的シーンこそ映し出せたが、野生の小鹿を保護し、家畜の羊に授乳させるシーンはおそらくパペットを駆使したと思われる。決定的映像は使われていないし、かなり短めのシーンになっている。
それでも、何が起きているかを知るには十分で、嘘くささも全くないという、奇跡の編集をやってのけた。
映画全体にこの精神は生きており、「全部を見せる必要はない。見る人の想像力がそれをおぎなう」と言わんばかりに、必要最小限の映像を残して、多くを語らず。の姿勢を貫いている。
美しい山の季節の移り変わりや、厳しい冬を生き抜く人々の強さ、そして、ここにもナチスの虐殺から生き延びた人たちのドラマがていねいに語られ、最後まで見応えあるお話になった。
小学校低学年のうちに、子供に見せたいので、日本語吹き替え版がおすすめ。
【圧倒的に美しいフレンチアルプスの大自然を背景に、母の居ない少年と虐待されていた犬が心を交わし、ナチスから追われるユダヤ人一家のアルプス越えを助ける崇高な行為を行う姿を描いた作品。】
ー 「ベル&セバスチャン」と言えば、英国インディーポップスを奏でるグループを想起するが、もしかしたら今作から名前を取ったのかもしれないな。-
■アルプスの小さな村で暮らす孤児・セバスチャンは、1匹の野犬と出会う。
家畜や人を襲う「野獣」と村人から誤解されるその犬にベルと名付け、セバスチャンとベルは孤独な者同士、心を通わせていく。
時を同じくして、村には戦争が影を落とし始めていた。
◆感想
・フレンチアルプスの圧倒的に美しい自然を見事に映し出している。
ー 更に、ユダヤ人一家をアルプスの向こうにある中立国スイスに逃がそうとする村人たちの姿も良い。-
・飼い主から虐待を受けていたために、気性が荒くなり家畜や人を襲う「野獣」と村人から誤解される犬にベルと名付け、ベルが撃たれた時には看病するセバスチャン。
ー ベルとセバスチャンの間に絆が作られて行くのである。-
・母を待つセバスチャンだが、彼を育ててくれたセザールから聞く母の真実。
ー セザールはセバスチャンの美しいロマの母からセバスチャンを預かり、彼女は亡くなっていた・・。-
・アルプス越えで自由を得ようとする映画と言えば「少女ファニーと運命の旅」を思い出すが、今作もそれと同じ流れで製作されている。
<今作では、ナチスの中尉が情報を流してくれていたり、表層雪崩に巻き込まれた時も、ベルやセバスチャン、アンジェリーナは彼を助け出すのである。
登場人物の中でナチスの兵隊以外は、皆何処か優しい。
今作は、人間の善性に溢れた作品である。>
名犬ベル
アルプスの雄大な自然の中、犬と少年の交流。
世界名作劇場みたい。
…と思ったら、日本では原作の児童文学が『名犬ジョリィ』というタイトルでアニメ化された事あるそうな。世界名作劇場では無いようだが。
本当に世界名作劇場のような良質ファミリーの作風と世界。
アルプスの大自然の中で、祖父と暮らす少年セバスチャン。
最近、近辺の羊が野獣に襲われる事件が多発。
やがてセバスチャンは目撃。
だがそれは、野獣ではなく大きな犬で…。
当初は薄汚れている犬。
凶暴な野犬かと思いきや、非常に賢く、穏やかで…。
身体の汚れを落とすと、美しい白色。
オスかと思ったら、メス。美しい=ベルと命名。
人知れず友情を育む一匹と一人…。
周囲の大人たちは“野獣”を邪険に。
発砲して退治。
セバスチャンの祖父は孫と“野獣”の関係を知り、激怒。
秘密の友情に障害は付き物。
が、純粋で尊い行動が周囲の偏見を変えていく。
時は第二次大戦下。大自然に抱かれたこの地にもナチスの陰が忍び寄る。
ナチス兵に詰問されたセバスチャンの危機を救う。
祖父も一匹と一人の友情、ベルの気高さを認め、偏見を改める。
国境越え。ナチスの魔の手が迫る。
ベルの案内により、逃れる事が出来るのか…?
チェッキー・カリョは久々に見た気がする。アクションや悪役の印象が強いので、ファミリー向け作品での祖父役は何だか新鮮。
やはり主役は一人と一匹。フェリックス・ボシュエくんの健気さ、名犬ベルの賢さ。
アルプスの雄大な大自然も見もの。
絵に描いたようなハートフルさに心癒される。
♪︎走れ ジョリィ
…じゃなくて、本作はベルだったね。
名犬ジョリーの反戦歌
主演の男の子が可愛い!ピレネー犬も可愛い!お姉さん美人!景色が綺麗!
そして泣ける!
こういうことになるから戦争はイケナイ、と素直に思える。
ガンガン恐ろしい行為を描かなくても、戦争について、本当の勇気とは何かについて、考えさせられる作品で、大人は元より、お子さんと一緒の鑑賞もおすすめします。
原点回帰
実は観るかどうか随分ためらった映画です、大型犬と子供となるとどうしても感受性豊かだったころに読んだ「フランダースの犬」が連想され条件反射的に切なさがこみあげます。
この映画の良いところは所謂愛犬家狙いのベタなワンちゃん大好きストーリーでなく実話に基づいたシリアス感を持ち合わせていることでしょう。もちろん犬と戯れる映像や時々バックに流れる主題歌にも愛情が伺われますが嫌味にならない上手さは長年ドキュメンタリーを撮ってきたニコラス・バニエ監督の上手さとセンスでしょう。簡単なようで無垢の動物や子供を描写するのは難しいものです、加えて自然の美しさや厳しさも描きとる卓越した手腕に脱帽です。
真っ白なベル(グレート・ピレニーズ)は美しさ、穏やかながら勇敢さも兼ね備えた名犬ですね、子役のセバスチャン(フェリックス・ボシュエ)の演技とは思えないナイーブさには感動しました。
映画を観ている間中、どうかこれ以上酷いことがおこりませんようにと祈る気持ちで画面を追っていましたので正直疲れましたが「子供たちや犬たちが幸せに暮らせる世の中にしなければ・・」などと年甲斐もなく青臭い心情がこみ上げてきたのには我ながら驚きました。
シンプルに美しい
昨年の鑑賞のなかでベスト3に入れた一本。
好きすぎて毎週通って、4回鑑賞した後、DVD購入。
セバスチャン役のフェリックス・ボシュエくんが、りりしい美少年。
あどけなさと、何というかあのあたりの国特有の独り立ちしている子供…のイメージがよく出ていたと思います。
険しい崖を降りられるか、と言われ、全く物怖じせず子カモシカを救ったり、撃たれたベルを救うために医師のギヨームと交渉して、言いつけたら逆に秘密を言いふらすよ!とえげつなく脅してみたりとか。
劇中の歌も彼によるもので、少年特有の高い声がとても沁みます。
ベル役のグレートピレネーズも大変よかった。
薄汚れた野獣の姿の時は目つきも厳しく、まさに野獣なのに対し、白く綺麗になって、セバスチャンに心を開いた後は、慈愛に満ちていたりおどけたり、とてもかわいらしく…役どころを理解していたのかな…と驚かされます。
おじいちゃん、セザール役のチェッキー・カリョもよかった。セバスチャンの母について告白するときは思わず涙を誘います。
ドイツ軍将校の彼も、実はいい人だった。基本的に悪い人は居ない、序盤のアンドレの言葉にこの物語が集約されていますね。アンドレ役の方はかつてテレビドラマの折りにセバスチャンを演じた、原作者のセシル・オーブリーの実子なのだとか。
探検家でもあるというニコラ・ヴァニエ監督の映像は、自然の移り変わりをとても美しくとらえています。
いつの間にか夏が過ぎ、秋が来て、やがて白い雪に埋め尽くされるアルプス。
厳しい冬が終わり春を迎える頃、同い年の友達も出来たセバスチャンを写して終わるこの物語はけれど、終わりのない物語でもあるのだと気づかせてくれます。
ほっこり。子供と観たい。
dvdにて鑑賞。
とにかく山々が綺麗で清々しい空気が伝わってくるようでした。
ベルとセバスチャンがだんだん心通う仲になっていく過程や次第に人に馴れて行くさまを見ながら心がほっこりして、かといってそれだけではなく適度にドキドキするシーンありでバランスが良く、良い意味で軽く鑑賞できました。
ある人は親代わりのセザールを駄目な保護者みたく言う人も見受けられますが、時代背景を鑑みると、学校に行かせる事が善で、行かせないのが悪とは、私は思いませんでした。
色々な理由で行かせられない人も沢山いたと思います。
あの自然豊かな環境、動物、暖かい人々に伸び伸び育てられてこその優しいセバスチャンなんだなあと、そんなセバスチャンだからベルも安心して友達になれたのではないでしょうか。
学校の勉強より大切な、人としての”徳”をセバスチャンに教えてもらったような気がします。
って大袈裟かもしれませんが私はそう思いました。
最後のシーンも、アンジェリーナは”子供と犬”ではなく”立派な男と相棒”として信頼出来たからこそ帰らせたのだと私は勝手に解釈しました。
もちろん現実に帰らせるしかない状況ですが…
いつか子供ができたら見せてあげたい映画のひとつです。
自然と人間と
美しい澄んだ自然の中に、人間が生活をしているが、そこにドイツ兵がやってくる。
人間も自然も、見た目と中身が異なることもあるが、子どもの目から見れば、複雑ではなく、全てを受け入れて成長することができるのが、羨ましいと思う。
アルプスの少年と犬に感動
ひさしぶりにいい映画を観て感動しました、見終わってからしばらくジーンとくる不思議な体験でした、少年と犬の組み合わせはいつでもどこでも相性がいいですね、よかったです、泣けます。続編も作られるそうで楽しみです。
犬と子供、鉄板の設定だが脚本に難あり
2015/09/28、イオンシネマ港北ニュータウンで鑑賞。
子供と犬という組み合わせで面白くないわけがないんですが、前に原作が日本で「名犬ジョリー」というタイトルでアニメ化されたらしく、もしかして子供向けかな?と不安に思いつつも、皆さんの評価が高いので鑑賞することに。
しかし映画が始まると、アルプス山脈の壮大な自然をロケ地に本格的に撮っているなと感じて、これは面白い、と確信しました。最初は。
不心得な猟師に母親を撃たれて絶壁に取り残された子カモシカを救うために、年端もいかないセバスチャンを紐に括りつけ、恐ろしいほど高い崖から下ろす父代わりのセザールじいさん。それを怖がりもせず受け入れるセバスチャン。この関係を見た時、厳しい大自然の中、厳格にも温かい目で見守る保護者とそれに信頼しついていく子という関係が見えて、とても期待したのでした。
しかし話が進むと、セザール爺さんは酒好きで古い考えにとらわれ頑なで、セバスチャンを学校にも行かせないちょっとダメな保護者でした。
セバスチャンの方は家の手伝いもそこそこに山で遊んでばかりの普通の子でしたw
ベルとの出会いも最初こそ警戒されるも、割とあっさりなつかれて、この犬あまり人を恨んでないのかな?という感じ。
灰色で割とスリムだったベルが川で洗ってあげたら、真っ白でふかふかになって、別の犬のようになったのは笑った。
ベルがユダヤ人の国境越えを案内するシーンでは、どのように役立ったのかわからない。しかもクレバスにかかった雪の橋を渡るのにビビって更に落ちてるし。
なによりも最後のアンジェリーナの決断がありえない。まだ小さい子供と犬だけで、クレバスもあり雪崩の危険もある雪山を一人帰らせるなんて。
ちょっと大人の目で観ると、突っ込みどころがありますが、いい話だったし、子供の情操教育にも良さそうな映画でした。
凛として愛を語る
1943年、ナチス占領下のフレンチアルプスの村に暮らす少年と、飼い主に虐待された野犬の物語。冒頭から、小さな命への愛情が、厳しくも美しい映像で表現される。これが作品を貫くテーマだろう。結局のところ、この世界が価値ある場所だと自分に信じさせてくれるのは、愛への憧れしかないのではないか、と感じた。
こんな原作でしたか‥
ドイツ軍ナチの支配下のアルプスふもとの村でくらす孤児と人から野獣と恐れられる野犬が心通わす名作原作の映画化でした。
まず、のっけのシーンにビックリ。崖っぷちに取り残されたヤギ助けに子供をロープ一本で向かわせてしまうおじいちゃん。戦時下の厳しさと、山で生きる子供のたくまさしさ、お国感の違いをみせつけらるました。
ナチのお話と、犬と子供の交流と、孤児のお話と、全てが軽くわかりやすく描かれていました。
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