「描き方が散漫」湯を沸かすほどの熱い愛 魔道元帥レヴィスさんの映画レビュー(感想・評価)
描き方が散漫
まずラストからいきなり書きます。おい、これ犯罪だろ?違うか?というエンディング。自分の妻の遺体を経営する銭湯で焼き、それで沸かしたお湯で彼女の熱い愛を感じ取るというオチなんだろうけど…確かに、火葬場以外の場所で、火葬場職員以外の者が人体死体の焼却を執り行う事を禁止する法条文はないので可能と言えば、可能らしいが、「死体遺棄罪」や「死体損壊罪」に問われたり、殆どの自治体で知事が許認可した施設以外での死体処分を禁ずる規定を設けているので、彼らが取った行為は決して良い事ではない。映画だから、こういうこともあっていい、フィクションだから、といえばその通りだと思うが、それまでの展開から見ると、とてもリアリティあるものではない。
全体にエピソードの詰め込みが多くて、あちこち飛んで、それも全部、母等、親と子の関係に関してのばかりで飽きてくる。特に松阪桃李のエピソードは不要。あれをなくして90分位にすれば話が凝縮されてよかった気がする。
そして根本なところでオダギリ・ジョーと宮沢りえの関係があっさり片付くのも呆気ない。だいだいオダギリは女に逃げられ、あの女の子を1人でどう育ててきたのか、また銭湯再開もアッサリしすぎ。銭湯が大事なポイントであることは解るが、とってつけたようで、あんな簡単に再開して大勢の客が詰めかけるのなら、もとからして休業しなくてもよかったのでは?と思う次第。
トータルとして細部が漠然とみせかけだけで、ひとつに芯が全く見えない。宮沢りえの病気についても、余命僅かというのにあまりにも旅行に出るまでの元気さと、娘の病気を知ってからのあまりにも素直に向け入れる態度など、何か親子の愛を描いている割に感情の描き方が弱い気がする。
火葬場職員以外の者が人体死体の焼却を執り行う事を禁止する法条文はない・・・いいえ、あります。人間より場所が問題だけど。
※墓地、埋葬等に関する法律
第2条 「火葬場」とは、火葬を行うために火葬場として都道府県知事の許可をうけた施設
第3条の2 火葬は、火葬場以外の施設でこれを行つてはならない。
火葬は、火葬場以外の施設ではできない、銭湯で燃やすのは、違法。
だから、本当に銭湯で燃やしてたら、違法。
それに、ニオイがものすごいから、警察が乗り込んでくる。