劇場公開日 2016年10月29日

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「家族モンはズルい」湯を沸かすほどの熱い愛 オレさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5家族モンはズルい

2017年5月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

幸せ

余命半年と宣告された母ちゃんこと宮沢りえがイジメに苦しむ娘、失踪したうだつのあがらない夫、その愛人の連れ子、旅を続ける謎の男などの面々を深い愛で包み込む姿を描いた作品。

余命僅かの母ちゃんが家族のために奮闘する的な作品はよくあるがだいたいこういうのは良い。
今作はイジメや血族関係など生々しくてヘビーなモノをメインに持ってきていて観やすさという点ではなかなか手を伸ばしづらいクラスかもしれないが、やはり母ちゃんこと宮沢りえの姿には心打たれる。

イジメに負けるな、本当のお母さんに挨拶してきなさいなどと時に厳しく、しかし誰よりも家族のことを見守っている時に優しいお母ちゃんに愛人の連れ子であった鮎子も徐々に心を開いて行く。
後半の安澄と鮎子の本当の姉妹のような描写がとても良い。
自分勝手な放浪青年、拓海や自営業の銭湯すら投げ出して突然失踪した夫の一浩ら男性陣すら頭があがらないほどのしっかりとした性格で余命半年なんてウソのようにすら見える働きっぷりをみせる。

しかしそれでも忍び寄る病魔についに倒れてしまったお母ちゃんに対して、家族だけでなく、拓海や探偵の滝本すら何かしてあげられないかと集まってくる過程は泣ける。
ささやかな、だけどしっかりとお母ちゃんには伝わったであろうプレゼントを皆で届け、ついに息を引き取ってしまったお母ちゃんを見送るかのように皆で風呂に入り、空を見上げて、荒い字体のタイトルをバックに、ノイジーなギターから始まる爆音きのこ帝国。

とても綺麗にまとまってる良作。
オダギリジョーがもう少し双葉のためになんかしてくれるみたいな展開期待してただけに少しそこは残念。

オレ