「終活」湯を沸かすほどの熱い愛 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
終活
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なのだろうな。
残していってしまう者たちへのエールが溢れんばかりであった。
余命を宣告された主人公。
まさに…燃え尽きる前の花火の例えがあるように、死ぬまでに、自分が居なくなった後、家族が家族であれるように、生きて、食べて、笑って生活できるよう、出来る限りの事をしてから死んでいきたいと、そんな覚悟に突き動かされてた。
立つ鳥後を濁さず…そんな死に方でもあった。
なんだか、生きてきた後始末をつけてるようでもあり、それまでの後悔を払拭するようでもあり…そんな崇高な意思とはかけ離れた卑怯な自分などは、己の生き方を見つめ直したりしてしまう。
映画的には地味な印象を拭いきれはしないが、それでも脚本的な仕掛けには驚きもあり、演者達の視線や、固く結んだ口元から言葉や台詞などでは語りきれない心情が雄弁に語りかけ、突き刺さる。
病床の主人公には戦慄すら覚えるし、それに立ち向かう娘の気丈な素振りに涙する。
無防備な演技とでも言うのだろうか…虚飾を一切排除したいかのようだった。
そして、物語の肝でもあろうラストシーンなのだが…ズッコケる人と唸る人と賛否が分かれそうである。
あのシーンだからこそ映画として成立してるとも言えるし、あのシーンさえ無ければと思う人もいるだろう。
かくゆう俺は、思い出し笑いをしながら映画館を後にした。
賛否を問われれば可と答えたい。
凄い重いテーマだった割には後味は悪くない。監督のバランス感覚の良さなのか、演者のファインプレー故なのか…その一端をあのラストシーンが担ってるような気もしてる。
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