「全てに置いて無駄がない、素晴らしい作品でした」湯を沸かすほどの熱い愛 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
全てに置いて無駄がない、素晴らしい作品でした
世間の高評価や賞レースの様子を見ている限り、普通の難病お涙頂戴物ではないんだろうなと、期待値高めで鑑賞しましたが、その期待値を大きく上回る感動に、涙腺が崩壊しっ放しの2時間強でした。
最初から最後までどこも印象深かったので、何から語ってよいのか分からなくなるぐらい、全てに置いて無駄がなく、全てが見所と言っても過言ではない作品でしたね。
これが商業映画デビューの中野量太監督のオリジナル脚本と言うのだから尚凄い、才能ある中野監督の今後の作品にも期待が高まります。
とりあえずブラマヨ吉田が同級生だったことは、もう売りにしなくても良さそうですね(笑)
しかし宮沢りえが演じた主人公・双葉のお母さんぶり、いや、おかあちゃんぶりが凄かった。
自分のことよりも常に家族のことを考える人、と言葉にしてしまえば、大なり小なり普通のお母さんも大体そう言う思考で生きている方がほとんどかとは思いますが、双葉はそんな言葉では語り尽くせないような行動力で、見る者をグイっと引き付けるおかあちゃんぶりだったと思いました。
心が広く、とにかく人間としての器が大きい、彼女の愛に触れたなら、間違いなく勇気を貰えるでしょうし、きっと大丈夫だと思えること確実でしょう。
一見厳しすぎると思えるシーンも、先を見据えての行動に思わず納得、これはまさしく聖母かな、こんな人間でありたいものですねぇ。
まあそれにしてもこの映画は泣けた、泣きっ放しだったなぁ。
でも山場の連発でグッタリとは言え、ユーモアにも溢れた作品でしたので、物凄く心地の良い疲労感だったりもするんですよね。
ダメ夫を演じたオダギリジョーがまたいい箸休め具合と言うか、ユルユルな雰囲気でホント憎めなくて、いい味出していたと思いました。
ダメ人間の私としては、妙に親近感、人間として完璧な双葉からほんのちょっとだけ解放されたい時があるのも、男としては少しだけ分かる的なで(行動に移しちゃダメですが)
女性陣の演技には泣かされっ放しでしたが、オダジョー夫に数合わせの探偵・駿河太郎に訳ありヒッチハイカー・松坂桃李に、男性陣には妙に癒された作品でした。
とは言えやはりこの映画は、宮沢りえと杉咲花&伊東蒼のいろんなものを超越した母娘の絆、これに尽きますね!
特に杉咲花の泣きの演技にはやられたぁ~、これぞ歴史に残る泣きの演技、各賞受賞オンパレードも至極納得の演技でした。
伏線が全て効果的に描かれていたのも印象的、よくもまあこんなに練られた脚本作ったなと感心しきりでしたよ。
でも、ラストは冒険に出ましたね、賛否両論、いや否の方が多しかな?しかし最後に爆弾を投下する監督さんの気概に私はやられましたね、素晴らしい映画でした。