「気になるところもあったけど」湯を沸かすほどの熱い愛 しろちささんの映画レビュー(感想・評価)
気になるところもあったけど
2017-03
とにかく泣いた。
鮎子の「この家にいていいですか」っていうところでもちろん涙腺崩壊するわけだけど、そのセリフによって「あぁ母親が迎えに来ると思ってて、仮の家だと思ってたから必死でなじまないようにしてたんだな」とか、賛否両論の漏らしちゃうシーンで、パンツをドアにかけるのはさすがにやりすぎだと思ったけど、たぶんあれって「トイレ行きたい、でもその間にママ来ちゃうかもしれない」っていうせめぎあいがずっとあって、そのぐらいママを待ってたっていうことが表れてたシーンで、だからこそ「もうママは来ないんだ」っていうことを鮎子なりに受け止めて前に進もうとしてるんだなってことを感じたりして、もう大変だった。
ただ、やっぱりいじめに対して立ち向かう方法として制服全部脱ぐあの方法はないよなって。たぶん男子たちはそういう目でその後安澄を見るようになるだろうし、女子たちは男子たちのそういう反応含めてよりおもしろくないだろうし、そもそもすぐ返してきたけど制服捨ててるだろwとか、牛乳吐いたところで「それいじめひどくなるやつや…」とか、もうドン引きしてしまった。あと、無理矢理に学校に行かせようとするお母ちゃんの行動にも。逃げるなっていうけど、逃げたっていいこといっぱいあると思うし。自分が死ぬことで守ってやれないから…っていうのもあるんだろうけど、結果オーライであって、たぶん現実世界ではいじめひどくなってさらに傷つくパターンだよなぁとか。でもそういうのも含めて「完璧じゃない」お母ちゃんの溢れ出るほどの愛というのがテーマなんだろうなとも思ったり。
オダギリジョーがダメな夫を本当にダメに演じててすばらしいなと思ったし、松坂桃李の一見明るいけど陰がある役はすごいはまってて初めてかっこいいなと思ったし、女性陣の評価がすごい高い映画だけど、男性たちもよかった。とても。