「銭湯=宮沢りえ」湯を沸かすほどの熱い愛 ちゃーるすとんさんの映画レビュー(感想・評価)
銭湯=宮沢りえ
予告編を見てから映画を見ました。
予告編からのイメージは、なにか単純そうな映画。
実際に映画を見てみると、それぞれのキャストの
感情が複雑に絡み合い、簡単に「泣ける」映画とは言えなかった。
最後に泣くポイントがあるだけではなく、いくつも波があり、その都度泣かされてしまった笑
まず、銭湯という誰にでもオープンなスペースが宮沢りえの役どころにしっくりと来た。
娘がいじめられて絵具を制服を絵具で塗られた後に、言った言葉や
時間を無駄に生活している松阪へかけた言葉、
誰に対しても全力で向かう姿がとても印象的だった。
癌であることを知り、娘にそのことを告げるために旅に出たのかと思ってしまった。
しかしそれは家族の過去を娘に教えるための旅だったと知ったときは、また涙が流れた。
ただ、この映画で最も感じたことは、杉咲花の演技力だった。
彼女の映画をしっかり見たのは初めてだったので、
どんな演技をするのか楽しみだった。
特に本作は、感情の浮き沈みが激しい。一番難しい役どころだと思うが、彼女の演技は素晴らしかった。
いじめられて制服を盗まれた後、母親から喝を入れられた後の学校のシーンと、制服を着て帰ってきた後の宮沢とのシーンが忘れられない。
表情が素晴らしかった。あと、声が大好き。
オダギリジョーの役柄はもう板についている気がする笑
松阪も、初めは何かわからない役だったが、宮沢からの言葉で気持ちを入れ替えた後の演技が素晴らしかった。
あとあの子役、あの子もとても難しい役柄だったが、
すき焼きを前に語ったセリフが力強く、素晴らしかった。
宮沢が亡くなった後のシーンは、「あ、これは意見が二分するな、、、」と思ったら、前にそんな意見をしている人がいた。
まぁ、確かに見る人によっては不快に思うかもしれないが、
このシーンのために、ここまでのストーリーとタイトルと演技があったのだから、熱い愛として受け取ると泣けてくる。
本当に、銭湯という舞台には似合わない、死やいじめ、腹違いの家族、扱いづらい内容を、できるだけ明るく表現した本当に素晴らしい映画だった。
銭湯での葬式、色彩豊かな死後の姿、
いろいろなシーンが心を震わせた。