劇場公開日 2016年10月29日

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「湯船が溢れるほどの涙」湯を沸かすほどの熱い愛 フットさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0湯船が溢れるほどの涙

2016年11月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

本当もったいない!配給も薄いし、宣伝・上映館も単調、ましてこのタイトル。
でもね・・来春の賞レースで「あれそんな良かったの?見とけばよかった」と巷で声が聞こえそうな、今観た人が得する名作です。

幸野一浩・双葉・安澄はどこにでもいる家族。抱える問題も誰もが理解できる。そんな平凡劇だが、人間生きていくうえで誰もが双葉のように振る舞いたい。でも簡単なようで天性のかけらがなくては難しい。

映画として癌を取り入れ、双葉は余命に今迄以上の愛を周りにふりそそぐのだが、決してアザとくなく普通なのである。我ら日常でも病気でなく事故や災難であっけなく逝く可能性もあり、余命とは誰もが絶対持っている。

自分は身内以外、周囲の人間とはあまり関わりたくない性格だが、困った人に関わると心配性の虫が騒ぐ。だから一浩の気持ち痛いほどが良くわかる。ピラミッドの場面が二度あるが、どちらも涙腺破壊に感銘した。男の気持ち、女の気持ち、受け取る場面が違うだろうが、誰もがツボにくる場面は絶対にあるハズ。人は誰もがこう直球に生きたいのである。

制服事件の「少しだけ、おかあちゃんの遺伝子があったよ・・」  → 海辺の「おかあちゃんがいつか役に立つって・・」の脚本の流転は脱帽!双葉はホンモンの神様だよ!!大号泣! あと子を持つ親なら、鮎子ちゃんの二度目のしゃぶシーン。「だから・・まだこの家にいてもいいですか?」おいおい10歳にもならない子に、こんな事言わせていいのか!?ここの双葉の「あたりまえじゃない!!」はメガトン級の重みがあり、もし自分の子供にこんな事言われたらどうする?涙なんてもんじゃなでしょ。他にも伏線の回収は素晴らしいものばかり。

双葉の母とのくだりは、あんな内容だったらカットしてもらってよかったかな・・これだけが欠点で、ラストの壮大なオチといい、本当良かったし、久しく観なかった入魂の宮沢りえが素晴らしい。受ける杉咲花も子役とかの領域を超越している。最期のシーンは本物の親子でも演じきれないだろ・・・あれ。
自分の中では今年は宮崎あおいが大金星としてきたが、この二人に瞬時に奪われた。ダブル主演女優賞確定です!!

2016.11.1 TOHO府中

フット