「生涯の一本になる。」湯を沸かすほどの熱い愛 真田幸村さんの映画レビュー(感想・評価)
生涯の一本になる。
クリックして本文を読む
かつて母親に捨てられた主人公が、同じく母親に捨てられた娘の母親となった。学校でいじめられる娘を厳しく育てる反面、その何倍もの愛を娘に注いだ。逆境に負けない母親を演じる一方、時折見せる弱さを巧みに描いた。幼きころの主人公と娘の重ね方が秀逸で、主人公の成長過程を想像しながら感情移入できる。いくつもの伏線を散りばめ、それを全て上手に回収した。宮沢りえは、主人公の幼きころの悲哀、逆境に耐え克服してきた過去、愛する人と出会い家族を持った喜び、母親としての使命感、その全てを完璧に演じきった。子役の二人は天才的な演技で魅了する。だからこそ、ゆるめのオダギリジョーが果たす役割がまた大きい。
ラストは賛否両論あるとは思う。しかし、関わる者全てを温かな気持ちにさせた主人公が、死してなお、大好きな家族の身も心も温めることで、その温もりは永遠に消えないはずだ。
コメントする