この世界の片隅にのレビュー・感想・評価
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この映画は事件だなと直感しました。
凄まじい映画でした。
義理の姉の容赦ないことばの切れ味に、わたしは身をすくめてしまいます。
夫が玄関の錠をカチッと閉じてしまう、その音にビクッとしてしまいます。
つましい日常を丹念に描いていたのに、その瞬間、あれっあれっと胸がドキドキして
頬が紅潮して、日常の向こう側に連れていかれそうになってしまいます。
そこがすばらしい。そして、ある意味とても怖いのです。
日常と、その日常が崩壊した向こう側をシームレスに行き来する描写の
すばらしさ、怖さ、凄まじさがたくさん入った映画です。
ヒロインがほんわかした人なのでほわほわした印象が強く残りますが
ほわほわしてばかりの映画ではないのです。
ほわほわと、ほわほわの向こう側を描いた映画と言えます。
映画館を出るとき、すべての観客がメッタ打ちにされる映画です。
優れた芸術は、すべて有毒なのです。
その毒の威力のほどを、どうぞ実際にご覧になって確かめてください。
もっと上映館を!
原作未読です。
心に深く、深くしんしんと沁みわたる作品でした。
強く優しく、習慣にとらわれながら、良くも悪くも昔の日本の生活がある。
例えそこに戦争という影があっても生活は続き、人々は明るくあろうと生きてゆく。
たんたんと展開していくなか、序盤から随所に笑いが散りばめられていて、とても和やか。
水彩画のような世界観も暗くなりがちな戦争映画とは一線を画していてホッとさせられます。
しかし日付が(昭和)20年に近付くにつれ、胸がざわついていたのは私だけではないはず。
そして8/6を待たずに起きる事件。
不意をつかれて胸がしめつけられます。
今の時代に生きる私だから、ついすずさんに幸せになって欲しいなどと思ってしまいますが、そんな私を嘲笑うかのように物語は続き、私の上から目線の同情など恥ずかしいくらいに強く生きる登場人物たち。
最後のエンドロールまで全てが物語で、タイトル通り、かつての日本に確かにあったであろう物語。この世界の片隅にあった物語。
満足の2時間でした。
正直言うと、声優能年のんさんが未知数過ぎておそるおそる観賞しましたが、全くの杞憂、いやむしろのんさんが最高にすずさんでした!
何度も出てくるアチャー(?)という口ぐせもぜんぜんくどく感じさせず、笑顔を分けてくれるアクセントになっているように感じました。
ずっとゆるふわだっただけに終盤の感情の爆発の場面の鬼気迫る感じが臨場感溢れていて素晴らしかったです。
強く優しく柔らかいすずさんに感情移入120%です。
ぜひ多くの人に見てもらいたい。
上映館がとても少ないのが残念で仕方ありません。。
増やして~( ・ε・)
1/11追記
正月に両親を連れてまた観てきました。
母はとても喜んでたし、父も「しみじみニヤニヤしとるんじゃ」で声を出して笑ってました。
良かった(^w^)
日本人なら見て欲しい映画
この世界の片隅に
果たして戦争映画かどうかすら分からなくなるぐらい普遍的な何かを映し出しているように思う。戦争論というよりも、戦争という事象は背景に過ぎず、人が生きる姿、人生論なのかもしれない。
一市民から見た戦争描写は非常に斬新なものが多く、未だかつてない描写力で、自らがその場にいればこういうものかもしれないと納得させられる。
見た中で色んなシーンが焼きつき頭の中で色々と反芻してしまう。そんな中でも玉音放送のシーンは強烈な印象が残る。8月15日に戦争が終わることを知る私からすると、何とか終戦を迎えて安息を得てくれと思いながら見ており、ようやく辿り着いた安息日にこっちとしてはホッと胸をなでおろす所だが、それを見事に裏切ってくれる主人公の感情の爆発。終戦に泣き崩れた人の感覚はこれまでイマイチピンとこないものであったが、そうだよなぁ、これまで色々失っていく中で、いつかは自分も死ぬかもしれないという思い、それが定めと考えていたかもしれない。しかし、一転して自分は失われないと分かったとき、それまでが全て不条理になり、失った者に対するやるせない気持ちを一気に背負わされる。そんな気持ちにこれまでなれなかったよ。
戦争映画の歴史を変えた!
号泣!今年ベスト!まずは絵がきれい。
広島が呉が、瀬戸内海がなんとも美しい。
そこに住む人々の実在感たるや。
一般の戦争映画にある悲壮感はさほどなく、いかに戦時中であろうとも、人々にはそれぞれの生活があり人生があったというのが描かれ、容赦なく感情移入させられる。
そこに加え、特筆すべきは「のん」の声。
本作は天才女優の輝かしい復活だ。
広島弁も見事にものにし、従来のポーッとした感じから、中盤のエロシズムから、後半の堕ちていってからの感情の爆発まで見事に演じ切っている。
勿論アニメも素晴らしいがここまで一体化するとは。脱帽。
戦争映画は数あれどここまで当時の人々の等身大の様子が描かれたのは偉業。
テンポもよく湿っぽくなくけれど感情はガンガン揺さぶられる。目をつぶりたくなるシーンもしっかりある。
何もかもが絶妙なバランス。
万人に、世界に勧めたい傑作。
君の名は。のようにヒットして欲しい。
評判通りの良い作品
愛おしいからこそ突き刺さる物語
ほのぼのと悲哀と絶叫と。71年前のリアルを感じた。
そして、きっとすずさんに恋をする
絶対見てほしい!心に残る名作
2016年、様々なアニメ映画がヒットしましたが、その中でもダントツ1番に良い映画でした。
戦時下の生活を追体験しているかのような、生活してる!っていう感覚を持つことのできる映画。
戦時下を特殊な形、地獄のような苦しみとして描くことが多い中で、この作品は喜び、楽しみを描いていることが、まず凄い。
戦争の気配が少しずつ生活に影響を与えているんだけど、変わらない日常を送ろうとする人々を描いている。変わらない生活を送ることで、彼らも戦争を戦っていたのだと思えてくる。
苦しいこと、悲しいことを我慢し、表面的には楽しげに振る舞う。そこが、見ている側としても、表面的には楽しいのだけど、同時に悪化する状況に、そこはかとない恐ろしさ、やり切れなさ、悲しさを感じずにはいられない。
それが最後に、普段はおっとりしたすずさんは感情を爆発させ、人知れず泣き叫ぶのだ。戦時下では悲しい時に人前で泣くことは非国民扱いだったそうだ。泣きたい時に泣けない、感情も殺されていたのだ。
失った右腕は、心の喪失とか、本当に大切な気持ちを戦争に殺された、ありとあらゆるものが戦争に奪われた、そういう全てをひっくるめた象徴を意味している。
ただ悲しみを引きずるということではなく、これからをどう生きるか、そういうメッセージが伝わるので、鑑賞後はとても気持ちのいい気分になる。
生きることの大切さ、今ここにいる喜び、その全てが、本当に大事なものであると思えるのだ。
本当の名作というのは、こういうもののことを言うのだと思えた。是非とも、いろんな人に見て欲しい映画だし、今はなんとも思えなくても、今後いろんな経験を積んでいく中で、この作品が言いたかったことが少しずつでもわかってくると思う。心に残る傑作。
ちなみに、のんの声は、皆さんが言うように、すごく合ってると思います。日常での朗らかな感じもだけど、感情を爆発させる時の力強さも兼ね備えた素晴らしい演技だと思います。
戦争を背景にした市民映画
2016年一位!
事前の期待値を余裕で上回る作品だった。
のどかな風景の描写と苛烈な爆撃に晒される描写。配給や雑草まで雑炊にして生きている人間と戦争の最中でも虫、鳥、花々は普段と変わらずに生きている。全てが対比になっている。
そして未来を生きる我々は全ての答えを知った上でこの作品を観ているから、「あっ、それはダメ!」なんて心の中で呟きながらみていた。
もう、正直嗚咽しながらの鑑賞だったし、劇場の雰囲気も同じだった。
今年、邦画は特に良作が目白押しだが、今年のベストに推して間違いないと思う。傑作です!
沢山の人に見てほしい
ぐわっと、心を鷲掴みにされました。
オープニング2分で涙が知らぬ間にぽろっと。
決して、泣かせてやろう、ほら感動しなさい、と仕掛けてくる作品ではないです。
笑える箇所もたくさんあります。
でも、戦争の爆撃シーンなんか
ほんとにはっとさせられ心が痛くなります。
戦争とは‥‥とこ難しいことより
戦時下でも幸せに、普通に生きていたい人の当たり前の日常、それを丁寧に描いてます。
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