この世界の片隅にのレビュー・感想・評価
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きれい事で描く戦争
『はだしのゲン』の後に見たが、ゲンが戦争をリアルに、そして当時の子供らの逞しさを忠実に描いているのに比べて
非常に生ぬるく、ほんわかしたムードで、戦争の悲惨さをオブラートに包んでしまった作品。
現代の人は、壮絶な現実をありのまま受け取る強さを持ち合わせてないのかもしれないと、あまりの高評価にそう思わずにいられない。
きれい事の上で頑張ってる姿に感動するらしいが、現実はそんなに甘くない。
ありのままの悲惨さ、壮絶さを受け入れて、初めて人は強くなれる。
他の方も書かれていたが、この映画は戦争がテーマではない。当時の女性の生活を描いたもの、それも甘くのんびりと、穏やかに描いただけ。
胸が打ち震えるような感動や、涙するところが『はだしのゲン』にはあったが、本作には全く感じられなかった。
星二つなのは、それでも飽きずに最後まで観ることができたので、エンタメとしては良く出来てるからである。
この世界の片隅から未来へ。
~さよなら興行~「テアトル梅田を彩った映画たち」にてリバイバル上映。片渕監督のトークイベント付き。
言わずと知れた近年のミニシアター界最大のヒット作です。公開時以来久々の鑑賞。戦時下の広島で日々工夫しながら暮らす普通の家族。しかし戦況が悪化していくにつれその普通が奪われてゆく。広島市から呉に嫁いだすずさんがあの日見たもの。
のんびりマイペースなすずさんにのんの声がピッタリです。戦争中でも人は食べて、寝て、恋もします。誰かとお喋りして、笑い合ったりします。
シンプルで優しい絵とは対照的にそこには間違いなく戦争があります。戦争によって失ったものは何も腕だけではありません。あの日の広島と長崎を忘れず伝え続けることは未来への強いメッセージとなります。子供達にも、海外の人にも、そして今戦争を行っている国の人にも観て感じてほしいです。
~ここから脱線します~
この上映をもってテアトル梅田が32年の歴史に幕を下ろしました。上映後のトークイベントで片渕監督が「残念ながら映画館はなくなってしまうけど、こうして新しい出会いがある。映画は続いていく」っておっしゃっててとても素敵な言葉だと思いました。あの地下の小さな2つのシアターが大好きでした。
ようやくの鑑賞
これを観るとつらくなりそうでなかなか観れずにいましたが、丁度この時期、ようやく観ました。やはりつらくなるエピソードが多くて、簡単には感想を書くことができませんが、不条理で耐えがたい現実にあっても、力強く生きるすずさんに、僕自身救われた気がします。
絵を描くことが好きなところはとても共感を覚えました。
拡大版の方も鑑賞したいと思います。
1945年の生活
戦時中の1人の女性の生き方にフォーカスした話。
反戦だけではなく、昭和の家事・家庭内のいざこざ・食卓事情などなど。
苦境に対して主人公が前向きに取り組むので反戦映画100%ぽくなく見られる。
『この世界のさらにいくつもの片隅に』 の ネタバレである
原作と『夕凪の街 桜の国』を読んだ方は、このレビューを読んでいただければ幸いです。映画を見た方や物語を読んだ方の多くが、拾った子に付いて触れないので、僕はネタバレを覚悟で、あえて彼女に触れたいと思います。
さて、彼女の登場は戦死した父親の遺影の前で朝食を取るところから始まります。笑顔ではありませんが、黙々と美味しそうに、朝食を取っています。すると、ピカドーンと悪魔がやってきます。母は右手にガラス片が刺さり、関節あたりから、無くなっています。力尽きて、遺体が崩れ落ちます。このあと、少女はこの場を去るのですが、原作では『ごめんなさい』と言っております。アニメではそこがカットされています。やがて、広島駅にたどり着いて、おむすびを拾う場面に移りますが、おじいさんの息子の様な若者の遺灰(遺影)を、おじいさんが大事にしていると、少女は遺影を自分の父親と思って、おじいさんに近づきます。しかし、おじいさんは気味悪く思ったのか。『シッシッ』と少女を押しやろうどします。生き残った一般の人々に取っては、薄汚く、放射能に被爆した(伝染ると思われた)浮浪児に情けなんかかけてられないのです。そこがまるまるカットされていました。
さて、この少女ですが、被爆して何日間広島にいたのでしょう。彼女は母親と同様な障害を受けているはずです。りんの妹の紫の斑点で、問題が薄められていると思います。兎も角、同じ原作者の『夕凪の街 桜の国』を読んで貰えれば分かります。少女との出会いの頃の顔色が紫色なのが気になります。
これは、僕の独自の解釈であって、原作者の意図する事ではありません。
因みに、実写版『この世界の片隅に』では、この少女が80歳以上生きた事になっています。そっちの方であって貰いたいですよね。
他人事とは思えず思わず涙してしまいました。
この映画、予習を全くせずに、とにかく、のんさんが主演声優を務められるということを楽しみにして観に行きました。
フライヤーの朴訥な絵柄も大変気に入りましたので。
ところが、これがかなり困った映画になってしまいました。
そんな思い出でアマプラで再鑑賞です。
すずが右腕を失って大好きな絵を描くことができなくなってしまったじゃないですか。
あれ、まさに自分に重なったんですね。
私5年前に脳梗塞で倒れてしまいまして。
幸い大事には至らず、日常生活には支障なく済んだのですが、どういう訳か?
多分、機能障害に陥った右脳の空間把握能力だか創作能力だとかが全くオシャカになってしてしまったためかと思います。
私も大好きだったイラスト描きが全くできなくなってしまいました。
そんな感じで、何度も何度もうるうる来そうなところをぐっと我慢して、スクリーンに見入っていた訳ですが。
すずが庭の木に引っかかった障子を見つけて、自分の描いた過去絵を回想するシーンで、とうとう涙腺が崩壊してしまいました。
当時はコロナ禍以前でしたので、マスクでそれを隠すこともできず、人前で恥ずかしげもなく、うっくうっくと嗚咽を漏らしてしまいました。
今回もやはりPCモニタを前に喉からこみ上げる涙を流してしてしまいました。
名作って色褪せない。
映画を観て泣いたのは、私の鬱病が原因で離婚した直後に観た『いま、会いにゆきます』以来だったのですね。
ひまわり畑で抱き合うふたりを見ながら、わたしたちもきっとああいう感じで、ずっと愛し合えるはずだったのにな…と。
おちゃらけて、バカみたいな駄文をだらだらと書き連ねる私にも、こういう悲しいバックボーンがあったわけです。
まいったか。←こういうのが、いつも余計(笑)
こうの次第でこうなるよね
柔らかい軟らかいやわらかい、絵がね、声とね、でも起きてる出来事は恐ろしい、夫婦、家族間の愛を感じて感動する、戦争紛争テロ、も勿論、殺し合う事を避けたいが、弱肉強食、人類の高みの限界か
戦争に翻弄されても強く生きる人々
本作は、従来の反戦映画の枠を超越した傑作である。今まで、自分の中で太平洋戦争を風化させないため、この戦争を題材にした数多くの作品を意識して観てきたが、本作は、そのどれとも違うメッセージを我々に提示している。
本作では、空襲、原爆投下も描かれているが、あくまで太平洋戦争は戦争の具体例であり、戦争の不条理を客観的に描くことに主眼を置いている。
本作は、太平洋戦争下の広島県呉市を舞台にして、広島市から嫁いできた主人公・すずを中心にした市井の人々の日常生活を丁寧に描いている。そんな細やかな生活にさえ、ヒタヒタと戦争の影が忍び寄り、ついには、空襲が始まり、主人公達は戦争の不条理に翻弄されていく・・・・。
主人公達の生活は、戦争の影響で段々困窮していくが、主人公は、創意工夫をした食事で乗り切っていく。主人公には、仄々とした温かさがあり、とても微笑ましく細やかな幸福に満ちている。ホームドラマを観ているような雰囲気がある。主人公を演じる のん のキャラが奏功し、掴みどころがない、メルヘンチックで、不思議系の主人公のキャラが際立っている。
そんな主人公達にも、容赦なく戦争が牙をむき、これでもかこれでもかと襲い掛かってくる。無防備、無抵抗な主人公達、そして、TV報道される今も世界各地で起きている戦争に苦しむ市井の人々のことを思うと涙が止め処もなく溢れ出てきた。切ない、悲しいなどという感傷的な涙ではない。戦争の不条理への強い憤りで唇がワナワナと震えてきた。涙量が多くて、暫く画面が霞んで観えるほどだった。
本作は、戦争の不条理を客観的に描いているだけではない。終戦直後、主人公達が進駐軍の食べ残しを食べて美味しいと言い、自宅での食事を不味いというシーンが象徴的である。戦争が終わって街が焦土と化しても、食料不足であっても、主人公達は生きていかなければならない。生きるって、形振り構わない、強かなことなのだと納得できるシーンだった。
どんな不条理な出来事に翻弄されても、それでもなお、人間は強く生きていく力を持っているという本作の力強いメッセージは人間愛に根差したものであり、心打たれる。すずの屈託のない笑顔はいつまでも記憶に残るであろう。
なぜこれ程までに
話題になった映画だったのか?と言うのが初見の印象。戦争という国家同士の争いに何気なく普段を生きている国民が巻き込まれ翻弄されていくサマをアニメーション化した作品。はだしのゲンと言う漫画が成果を残した、戦争とは酷いもんだよ。と言うメッセージとピカドンで苦しんだんだよ。と言う事実の直球ストレート的な表現をアニメーションと言う手法で語り尽くした。と言えそうな内容だったな◎主演女優の、のんちゃんの訛ある言葉の演技に感心もした。またいつか見る時があるだろうなぁ(^^)
共感の涙があふれ出る
主人公のすずさんを通して、戦時下の人々の暮らしの大変さを描いている映画。
それでも、のほほんとして、どこか間の抜けた印象のすずさんがいると、大変な生活も、それだけで楽しい日常に生まれ変わっていく。
そこに共感が生まれ、彼女と一緒に、その時代を生きている錯覚に陥ってしまうほどのリアルな生活感。愛すべき日常。
それが徐々に失われていき、やがて空襲という悲劇が訪れても、「生きる」ことを強いられる。その彼女に、大きく共感して、涙が次から次にあふれ出てきました。
演じる「のん」さんも良かったし、作画も素晴らしい。
音楽も、とても出しゃばらずに作品世界を彩っていた。
何より特徴的だったのは、全編を通じて、「字幕」が付いていたこと。これは、どうやら耳の不自由な人に配慮してのものらしいが、なんだか洋画を見ているような、特別な空間に自分が来ているような感覚になる。不思議な体験だった。
戦争アニメで、「泣く」と言えば「火垂るの墓」が有名だが、あちらはもう二度と見る気にはなれない悲惨なお話だった。
悲惨さでは引けを取らないこの映画も、見終わると救いがあり、これからも楽しくも苦しい日常がすずさんには続くんだと思えたことが、本当に良かった。
2020.9.4
戦争と向き合うすずに感動
すごいいい作品で、
戦争映画なら間違いなく1番
好きなアニメ映画でも私は1番です
戦争のさなかでも、
強く生きるすずさんに胸を強く打たれた。
庶民の目線
それは如何なるものか
とてもリアルに表現されており、
この映画を思い出すだけで目頭が熱くなる
戦争の儚さ
恋の美しさ
この二つを同時に描ける
そしてまた見たくなる、そんな戦争映画を作れるこの作品はとても素敵です。
もう5回は見たけれど、
何回でも鑑賞したい
のん もすっごい上手でした
挿入歌も、絵の構成も、話の進み方も
全部いい。ぜひ全ての日本人に見てほしい作品です
自分に続いている道
80年ほど前、実際にこの世界の片隅に起きていた出来事のようで。
すずさんたちの生活が優しく、厳しく、現実感を帯びて伝わってきました。
当時を生きていた祖父、祖母のことを思い、今を生きる自分や周りのことを考えました。
自分の知っているひと、好きなひとたちに、観てもらいたい作品です。
悲惨さだけにフィーチャーしていない
戦争モノって苦手なのよね、観ててどうしても辛くなりそうで。
『火垂るの墓』とか今でもよう観れんわ。
でもこれはそういう感じでもないと言うか、悲惨さだけにフィーチャーしていない少し違ったアプローチの作品でした。
総合すると素晴らしかった。
子供から大人まで等しくオススメできる作品ですね。
あとあれだ、すず役の主演・のん(能年玲奈)が意外にも……と言ったら失礼だけど凄く上手でハマっていたように思う。
アニメ映画に声優以外を起用すると叩かれがちだけど、これはナイスキャスティング!!
唯一よく分からなかったのは「バケモノ」とか「座敷わらし」?
昭和の時代を生きる人々のリアルな生活・生き方を描いた作品で、あそこだけファンタジー要素入れてきたのは何を表してたのかな…理解力のなさよ…。
他の人のレビューや考察を読んでこよう。
去年のはるみの服じゃこまいかねぇ
戦争ものってどうしても見ていて辛くなってしまうので極力遠ざけていたのですが、今日は何となく暖かくなるような話に触れたくて視聴しました。
全面的に悲惨で辛いというのを打ち出すのではなく戦争禍でも健気に生きる、小さな喜びを見つけられるすずの姿がよかった。
最後のすず達夫婦が孤児を迎え入れたとき、お姉さんがはるみちゃんの服を出してくれたシーンで涙が溢れた。
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